一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

第2章 植物油を巡る環境変化 原料関係

ロシア・ウクライナの情勢①

ウクライナは、植物油原料である菜種や大豆、ひまわりに加え穀物の生産量も多く、国際的にみて主要な植物油原料の生産国の1つです。そのため、域内での生産ができなくなる事態が発生すると、同国内だけでなく、世界の流通にも影響を及ぼします。

ウクライナと隣接するロシアでも、ひまわり、菜種の生産シェアが大きいです。ひまわりは、両国で世界の半分の生産量を誇ります。また、菜種は、両国で世界全体の生産量の5%を占めています。

そのため、ロシア・ウクライナの衝突が発生し、原料の輸出ができない事態が生じると、世界の植物油の供給バランスが崩れることが懸念されます。

下図のとおり、ロシアと国境を接するウクライナ東部がひまわりの種子の生産が盛んな地域であるため、2022年2月に発生したロシアによるウクライナ侵攻の影響で、ひまわり油の供給不足が懸念されました。

(出所)USDA FAS,”Ukraine, Moldova and Belarus - Crop Production Maps”より作成

ロシア・ウクライナの情勢②

隣に位置するロシアとウクライナは、それぞれ重要な油糧種子の生産国です。例えばウクライナは菜種、ひまわり、大豆等の植物油脂原料や小麦等の穀物の生産量が世界的に見ても上位に位置します。

2022年2月末頃に発生したロシアによるウクライナ侵攻で両国が対立したことにより、生産地域が戦火で被害を受け栽培できない・収穫された作物の輸出ができない等、世界全体の供給量逼迫が懸念され、価格にも影響が生じる事態となりました。

(出所)MapChartを用いてみずほリサーチ&テクノロジーズ作成

ロシア・ウクライナの情勢③

2022年2月末に発生したロシアによるウクライナ侵攻では、ロシア軍による黒海封鎖を受けて、黒海沿岸のウクライナの主要な港からの輸出機能が、約半年近く、停止されました。

その間、陸路輸出や周辺国の協力を通じた輸出等が模索されましたが、主要港の取扱量をカバーできるほどではなく、7月末に輸出が再開されるまで、ウクライナからの輸出量は大きく減っています。

(出所)戦禍の状況については、10月25日時点のデータ
出典は、Institute for the Study of War, Interactive Map:Russia’s Invasion of Ukraine