一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

田島シェフの「おもてなしスイーツ日和」 バックナンバーはこちら
一流シェフから、素敵なレシピをご提案いたします
ベジタブル・オイル

甘味処「ベジタブル・オイル」を開店いたしました。
皆様がおなじみのスイーツも、植物油でちょっと一工夫するだけで、
ワンランク上の“おもてなしスイーツ”に美味しく変身を遂げます。
当店はそんな新感覚スイーツで皆様をおもてなしいたします。
おもてなしするパティッシェは田島加寿夫さん。
たとえばソースに植物油を少し加えるだけで、いつものスイーツが全く新しい上品な味わいに変身し、
洗練された甘さと滑らかな食感が広がっていきます。
そんな当店自慢のスイーツ「ベジタブル・オイル」を是非お召し上がり下さい。
なお、誠に勝手ながら、今回をもちまして当店はしばらくお休みをいただきます。
またのご来駕をお待ち申し上げます。

【第12回】(最終回)春の到来を演出する、桜と梅のスイーツ!
田島シェフ・インタビュー
田島シェフ
「田島亭」オーナーシェフ 田島 加寿央(たじま・かずお)
一品目の「ウィークエンドケーキ」とは、どのようなものでしょうか?
イギリスで生まれた週末用の日持ちのするケーキのことで、パウンドケーキやスポンジケーキなど、午後のティータイムに食べるお菓子の総称ですね。今回は春の到来を予感させる桜の塩漬けをアクセントに、バターのたっぷり入った風味豊かなパウンドケーキに仕上げてみました。このケーキにはラム、キルシュ、アマレットの3種のリキュールを含ませて香りに深みを持たせながら、華やかな味わいを醸し出すようにしています。バターの風味だけですと単調になりがちなパウンドケーキを、クリーミーで甘い“アングレーズソース”と、ふくよかで酸味の効いた“桜オイル”の二つの対照的なソースでご堪能いただければと思います。“桜オイル”に入ったオリーブオイルは、パウンドケーキ自体のコクを引き出しながら、桜そのものの味覚も強調させる役割を果たしています。
二品目の「梅干しのパンナコッタ」も、甘味と酸味の妙を味わうレシピとなっていますね?
ご存知の通り、パンナコッタとは生クリームを火にかけてゼラチンで固めたスイーツのこと。とても甘味が強い訳ですが、そこに酸味のバランスが良い苺(できれば“女峰”が良いと思います)を組み合わせて食のすすむスイーツに仕上げることを意図としてみました。本来、梅干しのパンナコッタと苺はあまりそぐわないのですが、苺に“エクストラヴァージン”を組み合わせることで、そのパワーが甘味と酸味をバランス良く融合させ、スイーツ全体のコクや香りを高めてくれるのです。苺と“エクストラヴァージン”との相性はとても優れていますので、たとえばババロアなど、甘味の強いスイーツにかけるだけでそのスイーツが上品な味わいに変化していきますので、ぜひお試しいただきたいですね。
今回で植物油を使ったスイーツも最終回となりますので、ひとことお願いできますでしょうか?
暮らしの歳時記を意識しながら、約2年間にわたって植物油を使ったスイーツを計24品も考案できたことを非常に誇りに思っております。色んなオイルで試しては試行錯誤した部分もありまして、結果的にオリーブオイルを使ったレシピが多くなってしまったことは心残りではあります。しかしながら、私としても植物油の新たな可能性を切り開くことができたと思っておりますし、とても勉強になった次第です。実際に私のフレンチのお店でもメニュー化して好評いただいているスイーツもございまして、そういった意味でも今回のシリーズを担当させていただいたことを深く感謝しております。どうもありがとうございました。
田島シェフ・プロフィール
ベジタブル・オイル

「田島亭」オーナーシェフ
田島 加寿央(たじまかずお)

<プロフィール>
1966年千葉県松戸市生まれ。
調理師専門学校卒業後、赤坂プリンスホテルのメインダイニング「ル・トリアノン」にて
5年の修行ののち渡欧し、スイス、フランスの本場フレンチを学び帰国。
東京・青山にある会員制ホテル「ウラク青山」のメインレストラン「ジョアン」の料理長などを経て、
現在は新松戸「田島亭」のオーナーシェフとして腕を振るっている。
最近は、松戸市が主催している食育をテーマとした料理教室など、
地域に根ざしたイベントへ参画する機会が増加している。

田島シェフがオーナーシェフの「田島亭」のご案内
桜のウィークエンドケーキ ラムとキルシュとアマレットの香り
ざいりょう材料(※4人分が目安)

<桜のウィークエンドケーキ>

  • 薄力粉・・・300g
  • 無塩バター・・・300g
  • グラニュー糖・・・300g
  • ドライイースト・・・10g
  • 全卵・・・260g(※4~5個分)
  • 桜塩漬け・・・50g
  • ラム・・・15cc
  • キルシュ・・・15cc
  • アマレット・・・15cc

<桜アングレーズソース>

  • 牛乳・・・500cc
  • 卵黄・・・5個
  • グラニュー糖・・・100g
  • 桜塩漬け・・・30g
  • 黒胡椒(粗挽き)・・・少々

<桜オイル>

  • ピュアオリーブオイル・・・30cc
  • 桜・・・20g
  • 木イチゴ酢・・・5cc
作り方
桜のウィークエンドケーキ ラムとキルシュとアマレットの香り 桜のウィークエンドケーキ ラムとキルシュとアマレットの香り 桜のウィークエンドケーキ ラムとキルシュとアマレットの香り 桜のウィークエンドケーキ ラムとキルシュとアマレットの香り

<桜のウィークエンドケーキ>

  • バターを常温にしてポマード状になるまでホイップし、グラニュー糖を3回に分け投入してさらに良く混ぜ合わせる。
  • 全卵を良く溶き、こちらも3回に分けて混ぜ合わせる。
  • 小麦粉をふるいにかけながら4~5回に分けてさっくりと混ぜ、最後に水で塩を洗い流し水気を取っておいた桜を混ぜ合わせる。
  • 型に流し180℃のオーブンで約15分焼き上げてから、ケーキの表面を包丁で切り込みをしてさらに160℃で約15分焼き上げる。
  • 熱いうちにラム・キルシュ・アマレットを混ぜたものを刷毛でぬり、冷ます。

<桜アングレーズソース>

  • 鍋で黒胡椒を炒り、牛乳を注ぎ、沸騰させ香りをつけておく。
  • ボールに卵黄・グラニュー糖を加え、ホイップしてグラニュー糖を溶かす。
  • [2]に[1]と桜を加え、弱火で加熱し、濃度がつくまで温め、一気に冷ます。

<桜オイル>

  • 桜の花びらを包丁でたたき、オリーブオイルと木イチゴ酢を混ぜソースとする。
    ※最後に、ウィークエンドケーキを厚めに切り、桜オイルで香りづけをして、桜アングレーズソースをかけ合わせて出来上がりとなります。
桜のウィークエンドケーキ ラムとキルシュとアマレットの香り
田島シェフのひとこと

パウンドケーキは作り立てで食しますと、アルコールが十分に飛んでいないこともあり、あまり美味しくありません。できたら一カ月ほど寝かせて、うま味がしっかりと熟成された状態で召し上がっていただくことをおすすめします。

桜のウィークエンドケーキ ラムとキルシュとアマレットの香り
桜のウィークエンドケーキ ラムとキルシュとアマレットの香り
梅干しのパンナコッタと完熟苺のマリネ
ざいりょう材料(※4人分が目安)

<梅干しのパンナコッタ>

  • 牛乳・・・200cc
  • 生クリーム・・・200cc
  • グラニュー糖・・・80g
  • ヴァニラビーンズ・・・1/5本
  • オレンジ・・・1/2本(※汁と皮)
  • ゼラチン・・・5g
  • アマレット・・・20cc
  • 梅干し・・・5個

<苺オイルソース>

  • 苺・・・10個(5mm角にカットする)
  • グラニュー糖・・・20g
  • クレームドゥカシス・・・40cc
  • ミント・・・少々
  • エクストラヴァージン・オリーブオイル・・・30cc
作り方
梅干しのパンナコッタと完熟苺のマリネ 梅干しのパンナコッタと完熟苺のマリネ 梅干しのパンナコッタと完熟苺のマリネ

<梅干しのパンナコッタ>

  • 鍋に牛乳・生クリーム・オレンジ・ヴァニラビーンズ・グラニュー糖を火にかけ、沸騰させ香りをつける。
  • そこに、ふやかしておいたゼラチンを加え、裏ごしをして冷ます。
  • [2]が固まる寸前にアマレットを入れ、種を取り細かく刻んだ梅干しを加え固める。

<苺オイルソース>

  • 5mm角にカットした苺とグラニュー糖を合わせマリネし、そこにクレームドゥカシス・エクストラヴァージン・ミントを混ぜ合わせソースとする。
    ※最後に、お皿に盛り付けた梅干しのパンナコッタに、苺オイルソースをかけ合わせて出来上がりとなります。
梅干しのパンナコッタと完熟苺のマリネ
田島シェフのひとこと

エクストラヴァージン・オリーブオイルと同様に、パンナコッタの甘味と苺の酸味を上手につないでいるのが柑橘オレンジです。汁だけではなくオレンジの“皮”もパンナコッタに入れていただくと、風味が増して大人の味わいになります。

梅干しのパンナコッタと完熟苺のマリネ

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