一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

協会組織概要

新春ご挨拶


令和8年元日
日本植物油協会会長
佐藤 達也

令和8年の幕開けに当たって(年頭所感)
―厳しい搾油事業環境の下、植物油業界の事業基盤の強化に向けて―

明けましておめでとうございます。皆様には、令和8年の幕開けをお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。

私ども植物油業界は、植物油という国民生活、食品産業にとって不可欠で基幹的な物資を、高い品質を維持しながら、合理的な価格で安定的に供給するという責務を負っており、我が国の食料安全保障の確保に当たって、極めて重要な役割を果たすことが求められています。

植物油の原料となる油糧種子の大半を輸入に依存している我が国植物油業界にとって、世界全体の油糧種子の需要と供給の動向は、原料調達に直結するものです。

昨年4月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」では、OECD、FAOなどの国際機関の見通しに基づき、油糧種子の需要について、「人口増加により、世界全体では2033年までに2023年比で9%程度増加」し、「非食用需要の増加と合わせると、2033年までに11%程度増加することが見込まれている」としています。

一方、供給については、世界の農地面積の増加ペース、単収の増加ペースのいずれも過去に比べて鈍化することが見込まれるとしています。

2025年産の油糧種子の生産状況をみますと、カナダ産菜種は2,100万トン台と過去最高水準を伺う状況、豪州産菜種も前年産を上回り、米国産大豆は前年産とほぼ同水準の見込みであるなど、概ね良好な生産状況であると思われます。

しかしながら、油糧種子を海外から輸入し、搾油し、製品を販売するという植物油業界にとっては、様々な困難な事業環境下に置かれております。
まず、中国とカナダの間における、菜種、菜種油等を対象とした追加関税、アンチダンピング関税の賦課等の貿易紛争の継続、そして、何より、第二次トランプ政権による品目別関税、相互関税の賦課などにより、世界の貿易体制の先行きは極めて不透明な状況となっており、こうした問題を協議・解決する場であるWTOは、紛争処理の最終審を行う「上級委員会」委員の任命を米国が拒否していることから、2019年以降実質的に機能不全に陥っています。

また、日米の為替レートは2022年2月のロシアのウクライナ侵攻前の約115円/ドルから円安基調で推移しており、米国FRBの利下げ、日銀の利上げ観測等金利差の縮小への期待から円高へ向かうとの見方がある一方で、円安傾向の背景の一つといわれる我が国の財政事情の先行きへの懸念も示され、加えて、我が国の貿易赤字について、先の米国の相互関税等に関する日米合意を受けた自動車等の米国向け輸出の減少がみられるところです。

さらに、米国環境保護庁は昨年6月に2026年~2027年の再生可能燃料の最低添加義務量を制度導入以来最も高い基準とすることや輸入原料の使用を制限する案を公表しましたが、植物油に対するバイオ燃料向け需要は、油糧種子生産国での政策に大きく影響を受けることから、米国、カナダ、豪州等の国内搾油量は増加傾向が継続しています。こうした油糧種子生産国での国内搾油の増大は、植物油と同時に生産されるミールの増大とミール価格の下落圧力となっており、油糧種子、植物油、ミールの相対的な価格関係の変化は、植物油製造事業者にとって、原料調達から製品製造・販売に至る事業戦略全般の見直しを迫られる状況にもなっています。

こうした先行き不透明な世界貿易体制、円安基調の為替相場、油糧種子生産国の政策と密接に結びついたバイオ燃料需要の増大による油糧種子、植物油、ミールの価格関係の変化等国内の植物油製造事業者の努力では如何ともし難い事業環境の変化の中で、協会会員各社は、原料調達を含めたサプライチェーン全体における温室効果ガスの排出量削減に向けた取組についてのステークホルダーに対する情報開示等の地球環境に対する社会的な要請、植物油の賞味期限の延長技術や包装容器の改善、「2024年問題」等の物流改革等様々な要請や課題に対応することが求められております。

私ども日本植物油協会としては、油脂類について「食料・農業・農村基本計画」に「主要輸入相手国での生育状況の把握や当該国の生産者団体との関係強化等を目的とした、我が国、輸入相手国それぞれの政府関係者、業界団体等で構成された協議を定期的に実施することなどにより、輸入相手国との良好な関係の維持・強化や関連情報の収集」を行うと記載されているとおり、産業部会・国際部会が、日加なたね協議、日米パートナーシッププログラム、日豪なたね情報交換会を油糧輸出入協議会と共催し、当年産の大豆、菜種の生育状況と生産の見通し、品質の状況、サステナブルな生産への取組の状況、バイオ燃料等非食用需要の動向、鉄道ストライキなど輸送に係る状況等会員各社が原料調達に当たって必要となる情報の収集、生産国関係者との意見交換の場を設けて参りました。

協会会員会社の今後の搾油事業の展開にあたっては、会員各社間で製油業界を取り巻く環境の変化等を共有し、適切に対応していくことが重要であることから、こうした2国間協議等の概要を速やかに報告するとともに、流通委員会、技術部会、広報部会、表示部会、環境部会等への会員各社の積極的な参画を得つつ、解決すべき課題の共有、検討、対外的な情報の発信等に取り組み会員各社のサポートに努めて参りたいと存じます。

また、2024年3月に設立されたオリーブオイル公正取引協議会では、47商品に公正マークの使用を承認しました。2022年・2023年にはスペインの干ばつ等により世界のオリーブ油生産量が激減しましたが、2024年、2025年と回復の兆しがみられ、公正マークを付けた商品もこれから多く出回ることが期待されます。今後は、協議会のホームページを立ち上げるなど、適切な表示の啓蒙・普及活動に一層注力してまいります。

本年も国の内外、分野を問わず、様々な事態が重層的に生じてくることが予感されます。こうした厳しい搾油事業環境下にある時こそ共通する課題に対して、植物油を提供する各業界の皆様と連携しつつ、会員相互がコンプライアンスに留意しフェアな競争を行うと同時に、確りとした事業基盤を構築して参らねばなりません。

皆様の倍旧のご交誼とご指導を賜りますことをお願い申し上げ、更に皆様にとりまして良い年になることを祈念して年頭のご挨拶とさせていただきます。

(以上)