一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

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プロ選ぶには訳がある

-植物油の美味しさ大発見-

Vol.1お土産のおまんじゅうが一瞬で魅力的なスイーツに変身!

プロから学ぼう!植物油のおうちでの使い方
vol.2~オリーブ油編~

健康な身体づくりにぴったりの成分を含むとして注目される「植物油」。菜種油・米油・オリーブ油・ごま油など種類が豊富で、それぞれ含まれている成分も違うため、どれを選んで良いか分からないという方も多いのでは?そこで、料理のプロに聞いたおうちで上手に使いこなすコツを3回にわたってご紹介。第2回目は「オリーブ油」を取り上げます。

熟成魚が味わえる代官山の名フレンチ「Simplicité」へ!

今回、「オリーブ油」についてお話を伺うべく訪れたのは、東急東横線・代官山駅から徒歩6分の場所にあるフランス料理店「Simplicité(サンプリシテ)」

オーナーの相原薫シェフは1994 年に神奈川県・葉山のレストランで料理人としてのキャリアをスタートさせ、2000年にフランスへ。一つ星の「アレクサンドル」(ニーム)、「ジャルダンデランパール」(ボーヌ)などの名店で経験を積みます。

2003年の帰国後は、「銀座レカン」(銀座)でスーシェフ、「レヴェランス」(広尾)と「ヴァリノール」(荻窪)でシェフとして腕を振るい、2018年1月に独立を果たしました。

「サンプリシテ」で味わえるのは、フレンチには珍しく「魚介」に特化したコース料理。「日本各地から選び抜いた魚介を熟成させることで、素材の旨味を深め、一皿にその力を余すことなく表現することを目指しています」と相原シェフ。

そんな相原シェフがオリーブ油をどんなふうに使っているのか気になりますよね。そもそもオリーブ油にはどんな使い方があるのでしょうか? まずはオリーブ油の特徴についてご紹介します。

オリーブ油についてどのぐらい知っていますか?

オリーブ油は、オリーブの果実から得られる植物油です。主に地中海沿岸地域で生産・消費されてきましたが、現在では世界中で広く利用されています。

フルーティーな香りと独特の風味があり、精製の有無によって「エクストラバージンオリーブ油」「ピュアオリーブ油」などに分類されます。エクストラバージンオリーブ油は、風味や香りが最も豊かです。

また、健康面でもさまざまなメリットが! オリーブ油に豊富なオレイン酸は、血中の善玉コレステロールを維持しつつ、リノール酸と併せて摂取することで、悪玉コレステロール降下してくれる働きが期待できます。

さらに、体内で生成できない必須脂肪酸(リノール酸、α-リノレン酸)を含んでいますので、さまざまな食材と組み合わせて摂取することにより、コレステロールのバランスを改善する働きを高めてくれます。ポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化物質も含んでいるので、細胞の老化を防ぐ効果も期待できますよ。

料理での使い方は炒める、揚げるなどの加熱調理のほか、非加熱調理にも◎。サラダのドレッシングやパンにつけて食べたり、パスタやスープの仕上げにかけたりするのに適しています。

プロがすすめる「オリーブ油」の使い方

ここからは、「サンプリシテ」のオーナー・相原薫シェフのインタビューをお届けします。魚介を使った料理とオリーブ油との相性、家庭でもマネできるオリーブ油の活用法などを教えていただきました。

オリーブ油と熟成魚は相性ぴったり!

――「サンプリシテ」では、日本各地から選び抜いた魚介を産地直送で仕入れていて、それらをお店で熟成させているそうですね。フレンチで魚介が中心というのも珍しく、熟成魚となるとなおさら希少かと思うのですが、始めたきっかけは何だったのでしょうか?

魚介に特化するようになったのは、フレンチというとみんなお肉を使うのがちょっと嫌だなっていうのが始まりでした(笑)。

ただ、思い返してみるとたまたま海辺のレストランで働いていたことが多かったんですよね。最初も葉山だし、フランスでも海からは遠い内陸に行ったときですら、魚を扱うポジションに就いていました。気づけばずっと魚料理を作っているなと。僕自身も食べるならお肉よりも魚の方が好きですしね。

熟成魚はそれこそ、オリーブ油やクリーム系のソースと相性が良くなると思って始めました。最初はフレッシュな魚を切ってそのまま使っていたんですが、魚の脂がオリーブ油やソースを弾いてしまってうまく馴染まなかったんですよね。

熟成させるとテクスチャがオリーブ油みたいなねっとり感に変わってくるので、すごく馴染みが良くなりました。

――魚介はどうやって熟成させているのですか?

専用の熟成庫で乾燥させながら熟成させています。現在、5℃設定の熟成庫にはサワラやキンメダイが吊り下げられていて、1週間ぐらい熟成させています。

熟成させる期間は食材によって変えていて、たとえばマグロのソーセージなんかは1カ月ぐらい熟成させます。日付を書いて管理しているのですが、熟成期間が長くなってくると「あれ?これはどうしたんだっけ……」と記憶をたどらないと分からなくなることもあります(笑)。

――そうやって素材ごとの旨味を最大限に引き出しているんですね。ランチとディナーでは、魚のアミューズからデザートまで、相原シェフの「おまかせ」メニューが楽しめるんですよね。

ランチで全7〜8皿、ディナーでは全11〜13皿のコース料理をご用意しています。

メインで使う食材は熟成庫にぶら下がっている順番で決まるので、たとえば今日と明日はクエ。明後日はキンメダイを使いたいけれど、熟成具合によってはサワラを使うかもしれない。仕立てやコースの流れはだいたい一緒ですが、食材によってソースの塩梅などは少し変わります。

――フレンチといえばバターを使うイメージがありますが、こちらではオリーブ油もよく使うのでしょうか?

そうですね、うちの店ではバターよりもオリーブ油の方が多いです。炒めるときにも使いますけど、食材とソースのテクスチャを合わせたいときに入れています。オリーブ油を加えるとねっとり感がプラスされるので、軽いソースのときに使ったりしています。

たとえばアオリイカなんかはオリーブ油とすごく相性がいいんですよ。アオリイカを少し寝かせるとねっとりしてくるので、オリーブ油のテクスチャとよく合います。

そこにエビ、コンソメの旨味を少し足して、フロマージュブラン(フレッシュチーズ)を合わせる。フロマージュブランの代わりにセロリや玉ねぎなど、白っぽい野菜を使ったムースも相性が良さそうだなと思っています。

▲噛みしめるごとに甘みがじんわりと広がるアオリイカ。オリーブ油、フロマージュブランとの調和が楽しい

ウナギだったらタレをつけながら炭火で焼いて、パセリで香りづけしたオリーブ油をかける。その中に山椒ではなく、花椒(ホアジャオ)を少しだけ忍ばせると、ピリッとしたアクセントが味わいに奥行きを与えてくれます。

▲しっとりと焼き上げた自家製パンの上に、蒲焼風に仕上げたウナギ、そしてマッシュルームを。爽やかなパセリオイルとピリッとした花椒が絶妙にマッチ!

ちなみに、フランスでも僕が一時期滞在していたニームなど南部の地域には、オリーブ油を使う文化がありました。なかにはオリーブ油のソルベを作っていたシェフもいましたよ。

家庭でも試してみたい!オリーブ油の使い方

▲相原薫シェフ

―― 家庭だと魚料理にオリーブ油を使うことは少ないかなと思うのですが、家庭でもマネできる使い方があれば教えてください。

たとえばですが……サンマを塩焼きにしてネギをのせたり、サラダ仕立てにしたりして、オリーブ油とシェリービネガーを少しかけたらおいしいと思います。

サンマの代わりにカツオでもいいし、魚以外だったら豆腐もいいですね。あと、うちではカキのオイル漬けをよく作るのですが、家庭ではきのこをソテーしてオイル漬けにする方が手軽かもしれないですね。常備菜にぴったりですよ。

オリーブ油は火にかけるよりもそのまま使う方が、香りと風味をより楽しめるのでおすすめです。

――先ほどのお話の中で、ウナギを使った料理にオリーブ油をかける際、花椒を少しだけ入れるというのが面白いなと感じました。家庭でもマネするとしたら、オリーブ油と花椒とあと何を入れたらおいしいソースになりますか?

にんにくチップ入れたら良いと思います。それをお肉にかけてもいいけれど、やっぱり魚介の方が相性いいかな。ボイルしたエビにかければ、簡単アヒージョみたいになりそうですね。

――それは間違いなく、おいしいですね。肝心のオリーブ油はどんなものを選んでいますか?

うちでは「エクストラバージンオリーブ油」の中でも苦味があまり強くないものを選ぶようにしています。テイスティングして判断しているのですが、色味でいうと黄色よりも青みがかったものの方が好きかもしれません。

▲長い曲線を描くシェフズカウンターでは、相原シェフの手仕事を間近で楽しむことができる。個室としても利用可能なテーブル席もある

――オリーブ油の保管方法や廃棄するタイミングなど、オリーブ油を扱う上で気を付けていることがあれば教えてください。

その日使う分だけを出して、あとは冷暗所で保管しています。お店で使っていると結構早くなくなるので、それ以外のことは気にしたことがないですね。

――オリーブ油以外で使っている植物油はありますか?

お店によく置いてあるのは、サラダ油、ごま油、ピスタチオ油、くるみ油かな。それぞれに風味や味わいが異なるので、料理によって使い分けています。

この先も好みの植物油に出合ったら、取り入れていくと思います。

――ありがとうございました!

「Simplicité(サンプリシテ)」
住所/東京都渋谷区恵比寿西2-17-13 SOPHIAS代官山 1F
アクセス/東急東横線 代官山駅から徒歩6分
営業時間/Lunch(木~日) 12:00~15:00 (L.O. 13:00)/Dinner 18:00~22:30 (L.O. 20:30)
※祝日はランチ、ディナー共に営業
定休日/月曜日、火曜日
TEL/03-6759-1096

店名のSimplicité(サンプリシテ)は、 日本語では「単純な、簡素な」という意味。古フランス語には「自然に備わっている正直さ」、「真っ直ぐな誠実さ」という意味が含まれていたことから、人・食材・料理に対して「Simplicitéな心」であるようにとの思いを込めている。

食材と誠実に向き合う相原シェフによる魚づくしの料理は、どれも驚きと感動の連続! 肉ではなく魚を使ったシャルキュトリなど、今まで体験したことがないようなおいしさに出合える。コース料理はランチが11,550円、ディナーは23,100円。

※価格はすべて税込、サービス料別

Simplicité サンプリシテ 代官山 │ 魚介フレンチレストラン

風味豊かなオリーブ油で料理がさらに楽しくなる!

オリーブ油についておさらいすると、次のような魅力があります。

【特徴】

  • 風味が豊か:フルーティーな香りと独特の風味があります。特にエクストラバージンオリーブ油はそれが強く感じられます。
  • オレイン酸が豊富:オレイン酸は、一価不飽和脂肪酸の一種で、健康維持に役立つとされています。

【料理での使い方】

  • 加熱調理:揚げ物や炒め物にも使用できます。揚げ物の適温は175〜180℃です。
  • 非加熱調理:風味豊かなエクストラバージンオリーブ油は、サラダのドレッシングやパンにつけて食べるのに最適です。
  • 風味づけ:パスタやスープの仕上げにかけることで、風味を豊かにします。

【健康面のポイント】

  • オレイン酸は、血中の善玉コレステロールを維持しつつ、リノール酸と併せて摂取することで、悪玉コレステロール降下してくれる働きが期待できます。
  • ・ポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化物質を含み、細胞の老化を防ぐ効果が期待できます。
  • ・体内で生成できない必須脂肪酸(リノール酸、α-リノレン酸)を含んでいますので、さまざまな食材と組み合わせて摂取することにより、コレステロールのバランスを改善する働きを高めてくれます。

健康や美容にうれしいメリットがあって、幅広い料理に使えるオリーブ油。特に風味豊かなエクストラバージンオリーブ油は、ぜひ非加熱で使いたいところ。

また、オリーブ油は種類が多く個性も豊かなので、いろいろと試しながらお気に入りのものを見つけてみてくださいね。

オリーブ油を使ったレシピはこちら