一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

植物油の道

2.世界の植物油生産と貿易

(3)増加を続ける植物油の輸入

 油種別の輸入は輸出と表裏の概念ですが、輸出が原料供給に恵まれた特定の国に限定されるのに対し、油脂の輸入は十分な搾油装置を有しない国、湾岸に接していないため大量の種子輸入が困難な国を含め、多くの国で行われています。従って、種子の輸入ほどに特定の国や地域に偏るということはありませんが、それでも特定の国・地域が輸入市場の軸となる現象が見られます。

 植物油の輸入市場は、EU、中国及びインドの3地域を中心として形成されています。図8は、2001/02、2021/22年における主要油種の国・地域別輸入割合を示しています。

図8 植物油輸入の国・地域別比率の変化
(内側:2001/02年、外側:2021/22年)

資料:図1に同じ

 EU、中国、インド及びアメリカが、世界の植物油輸入の約半分を占める構図は大きく変わっていません。しかし、その中で中国のシェアが高まっていることが注目されます。中国は多様な油糧種子を生産する国であり、世界の油糧種子貿易量の過半を輸入していることは既に述べましたが、油脂でも大量の輸入を行うことによって国内の油脂需要を充足していることになります。

 これに対し、同じく膨大な人口を抱えるインドは、自給政策を基本としていることから油糧種子の輸入は行わず、油脂の供給不足分を主としてパーム油の輸入で補っています。そして、国内の油脂供給や搾油業界の状況を見ながら、油脂関税を調整して輸入量を調整して油脂供給を確保しています。

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