世界に広がるパーム油
4.世界で拡大するパーム油の消費

  生産量の増加につれて、パーム油の消費量も急増しています。
  消費量が最も多い国は、言うまでもなく中国で、EU、インドが続いています。無論、生産国であるインドネシアとマレーシアでは、消費される植物油のほとんどがパーム油であり、消費量も多くなっています(図7)。

  最近の特徴は、アメリカでの消費量が急に増加していることです。図7では分かりづらいのですが、2002/03年度のアメリカの消費量は17万トン弱でしたが、2006/07年度には65万トンと4倍に増加し、2007/08年度には80万トンを超えると推計されています。アメリカでは、2006年頃からトランス脂肪酸の過剰摂取が健康危害をもたらすとして、その使用を制限する動きが強くなっています(植物油Information第51号参照)。アメリカでは、大豆油など不飽和脂肪酸を多く含む植物油の安定性を高めるため水素を添加することが広く行われてきましたが、その際にトランス脂肪酸が発生しやすくなります。このため、水素添加を不要とするために飽和脂肪酸を多く含むパーム油を利用することが広がっているためと推測されます。

【 図7 パーム油を多く消費する国 】

(単位:千トン)
図7 パーム油を多く消費する国
資料:図1に同じ
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