高値を続ける油糧種子と植物油の国際価格
2. バイオディーゼルに黄信号?

 バイオディーゼルの生産装置に対する投資はなお続いています。オイルワールド誌は、2008年には世界のバイオディーゼル生産能力は3,000万トンに達することになると予測し、これまでのバイオディーゼルの生産設備の拡大が主としてEUであったのに対し、最近ではアメリカとアジアで投資が増加していることを述べています。しかし、現実にはブームを当て込んだ過剰設備のきらいがあり、工場の稼働率は低く、運営困難に陥り、経済性の面から倒産に至る企業も少なくないとしています。

 また、アメリカ農務省は、大豆油価格の高騰によってバイオディーゼル生産の収益性が低下し、経営に窮する企業が出ていることを述べており、植物油価格の高騰をもたらした要因が、そのために経営に窮するというパラドックスが生じています。

 ただ、EUにおいては、ドイツがバイオディーゼルへの税制の優遇措置を廃止し課税を行うことに政策を転換しましたが、EU全域において燃料へのバイオディーゼル混入義務(エネルギー比で4.4%、重量比では約5%)を課したため、価格が上昇しても需要が落ち込むことがないため、引き続き植物油の国際価格を牽引していくことが予測されます。

 日本国内でも、バイオディーゼルは環境負荷軽減へ貢献するというプラスの評価が行われていましたが、食品価格の上昇が現実化するにつれ、「明日の環境のため、今日、高い食料を買わねばならない」ことに否定的な批判が生じるようになり、京都議定書において地球温暖化防止に貢献するとされた“カーボン・ニュートラル”という考え方が、必ずしも的を射ていないとの指摘も出るようになりました。

 また、国連は、去る5月9日に公表した "Sustainable Bioenergy" という報告書の中で、バイオ燃料の急速な拡大によって農産物の価格が上昇し最貧国が食料を買えない状況が生じていること、特定の作物の生産拡大が生物の生態系を破壊する懸念があり、環境保全に逆行することなどの警告を発しています。

 現実に、オイルワールド誌は、2006年のアフリカ北部諸国の植物油購入量が4%減少し、その原因が高価格にあることを伝えています。また、ブラジルでエタノール用サトウキビの作付拡大のためオレンジの木が伐採されるという情報もありました。

 ブームのバイオディーゼルにも黄信号が点滅しはじめたようです。

PREVMENU