カナダ菜種協会が野心的な菜種生産拡大計画を策定
3. カナダ産菜種の需要

 カナダ産菜種に対する需要は、【1】国内製油業による圧搾、【2】海外への輸出、【3】種子などその他の用途の3用途に大別できます。図3は、その推移を示しています。


【 図3 カナダ産菜種の用途別需要量 】

図3 カナダ産菜種の用途別需要量


 菜種生産量の拡大に伴って、需要量も増加する傾向にあります。需要を牽引してきたのが輸出であることが明らかですが、国内の圧搾量がこの10年余りで急速に増加していることが注目されます。

 かっては国内圧搾量が少なく、カナダの菜種のほとんどが輸出に振り向けられていましたが、生産の拡大につれ国内製油企業は圧搾能力を着実に拡大し、最近年では370万トンの菜種を圧搾しました。更にバイオディーゼル需要の拡大に乗って、圧搾能力を高めることを計画し、推進しています。

 このため、カナダ産菜種の最大の需要者は、日本からカナダ国内の製油業界に移行し、日本は第2位の顧客という位置づけに変わりました。

 図3で、輸出量が90年代後半に増加しているのが目に付きます。この時期には中国が唐突に100万トンを超える菜種を輸入したことによるものです。しかし、1990年代から国際製油資本が争って中国に大型の大豆圧搾工場の建設を進めたことから、2000年代になって中国向け輸出は急減していますが、巨大な需要を秘めた国であり、突然に大量輸入を行い、国際市場を混乱させる懸念が払拭できたわけではありません。

 また、この1~2年に輸出が急増しているのは、パキスタン、アラブ首長国連邦、バングラディッシュ等の国へ新規輸出が行われたことが影響しています。

 しかし、これらの国で菜種油の需要が高まったのではなく、これらの国で圧搾された菜種油がEUのバイオディーゼル向け用途に輸出されているためで、いわばEUへの迂回輸出が行われているのです。EUでは一部の遺伝子組換菜種が未承認であるため種子輸入と油の食用利用ができない状況にあります。

 このため、これらの国に菜種油の生産を委託し、工業原料として菜種油を輸入しなければ、膨大な需要を満たすことができない状況にあります。いまのところEUは隠れた菜種の大輸入国という位置づけになりますが、EUが残された未承認遺伝子組換菜種を承認するのは時間の問題だとされています。そのあとには、EUが巨大な需要国として直接に輸入することが予測されます。

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