2)マヨネーズ、3年連続で売り上げ増

■成熟市場に異変?
 マヨネーズが日本で生産されるようになって70年以上。以来、戦争の時期や石油ショックの影響による減産を除いて、マヨネーズの生産量 は順調に伸びています。とくに1960年代の伸びはめざましく、1961年は前年比50.7%増を記録しています。しかしその伸びも落ち着き、1981年に前年比3.6%の伸びを見せて以降はほぼ横ばい。市場は成長の後の安定期、つまり典型的な“成熟市場”の様相を呈しています。ところが、今年前半、マヨネーズの生産が急上昇。半年間の生産量 を昨年の同じ時期と比べてみると、実に7%の増加となっています。「これには私たち自身、とても驚いているんです。理由についても、目下分析中です」と全国マヨネーズ協会小林欣乎専務理事。メーカーサイドの予想をも超えた消費量 の増加だというのです。
 マヨネーズの歴史を振り返ると、日本では1925年(大正14年)に初めて製造販売されました。欧米ではマヨネーズよりもドレッシングの歴史の方が古いのですが、日本でドレッシングという名の商品が販売され始めたのは昭和33年(1958年)のこと。ですから、日本で生産が始まったころのマヨネーズはハイカラを代表する調味料であり、当時の人は憧れをもってその味を受け入れたのでしょう。そして戦後、1960年代以降は食生活全体が本格的に洋風化。その波に乗って、マヨネーズの生産が急成長したのもうなづけます。

■増加の陰に「マヨラー」!?
 しかしながら、今年に入ってからの消費の増加は、“洋風化”では説明がしきれません。そこで、成熟市場にふたたび成長をもたらした背景について、いくつかの推測をたててみました。
 まず思いつくのが、最近話題の「マヨラー」という人たちの登場。マヨネーズが大好きな若者たちのことで、ごはんにもスパゲティにも、人によっては納豆などにもマヨネーズを入れるとか。「マヨラー」が話題になることで、マヨネーズのおいしさが再発見されているのかもしれません。
 若者に限らず、主婦の間でも、これまでと違うマヨネーズの使い方が進んでいたりもします。料理雑誌などを見ると、オムレツを作るときに溶いた卵にマヨネーズを加えて焼くとフンワリ仕上がるとか、チンジャオロースーの仕上げにマヨネーズを使うとまろやかになっておいしいなどという使い方が紹介されています。これまでマヨネーズといえば、加熱しない料理に、最後にマヨネーズが見える形で使われるのがふつうでしたから、ずいぶん発想の違う使い方です。
 また、デパートの惣菜コーナーでは、サラダだけを扱う店が人気を集め、並べられるサラダのバリエーションも非常に豊富です。外食店では、サラダバーをよく見かけるようになりました。惣菜や外食などでサラダが注目されていることも、マヨネーズの伸びにつながっていると考えられます。
 「かつては洋風の味を代表する調味料であったマヨネーズも、いまやすっかり日本の味。みんなマヨネーズの味が好きなんですよ」(同専務理事)。良質の植物油と新鮮な卵、酢を主原料とするマヨネーズは、おいしさ、ヘルシーさ、使い勝手のどれをとっても完成度の高い食品です。マヨネーズが再び脚光を浴びる背景に、消費者の「いいものは、いい」という意識があることは、まちがいないのではないでしょうか。

■ 正しい保存でおいしく食べる
 新たな局面を迎えたマヨネーズですが、今後ともおいしいつきあいを続けるために、保存についてふれておきましょう。 「卵を使っているということで、保存性を気になさる声はよく聞きます。もともと酢を使っていること、各メーカーとも十分な衛生管理のもとで生産しているということもあって安心な食品です。とはいえ、1ヶ月程度で使い切れる大きさのものを選んでいただくといいですね。また、マヨネーズをいったん調理に使うと、野菜の水分で薄まるなど、ほかの素材の影響を受けて保存性は下がってしまいます。おいしさのためにも、安心の意味でも、調理に使ったらぜひ早めに食べきってください」(同専務理事)。  植物油を使ったすぐれた調味料マヨネーズ。今後の成長に、ぜひご注目ください。
(取材協力:全国マヨネーズ協会 専務理事 小林 欣乎氏)
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