脂質酸化の捉え方∶リン脂質やオリザノールを例にして
東北大学大学院 農学研究科 教授
仲川 清隆

食品や私たちの身体(生体)を構成する脂質が酸化され過酸化脂質となり、食品劣化や疾病に繋がると示唆され、かなりの月日が流れました。こうした示唆以来、「食品や生体中で、脂質は実際にどのように酸化(ラジカル酸化、一重項酸素酸化、酵素酸化)され、どのような過酸化脂質が生じるのか、および、その影響の全貌解明」が、世界の過酸化脂質研究者の究極目標であろうと思います。こうした中で、演者は、Naを用いた独自LC-MS/MS法で、様々な過酸化脂質のヒドロペルオキシ基の近傍構造の違いを捉え、脂質がどのように酸化されるのかを見極められる手法(即ち、過酸化脂質の異性体解析法)の開発に至りました。

誰もが脂質が酸化されることを知りつつも、脂質酸化の複雑な機構(メカニズム)の全貌を捉えきれない中で、上記の異性体解析法は全貌に迫るものであり、加えて、その機構に基づいて脂質酸化の制御の最適解をも提供し得ると信じて、日々研究を進めております。こうした演者の取り組みを、「脂質酸化の捉え方」と題して、リン脂質やオリザノールも例にしながら、ご紹介しました。今後もこうした研究を推進し、基礎と応用が表裏一体となった研究テーマを追求して、食品の未来品質・ヒト健康社会の実現を目指していきたいと思います。
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