◆食用以外に広がる植物油の用途
 植物油関連の油脂製品は、食用に限りません。まず、医薬品として日本薬局方に記載されているものは、オリーブ油、ごま油、大豆油、とうもろこし油、椿油、なたね油、ひまし油、やし油、落花生油があります。ごま油は、軟膏として古くから使われていました。化粧品として使われる植物油もあります。現在、化粧品の原料として欠かせないのは、オリーブ油。オリーブ油は、肌を柔軟にするエモリエント剤としてクリーム類、リップクリーム、マッサージオイルなどに使われてきました。
 その他には、インクの原料にもなっています。石油ショックをきっかけに新しいインキ材料の研究が行われ、昭和62年に実用化され、その後環境問題で注目を集めているのが大豆インキです。再生紙にする際に紙から分離しやすいのでリサイクルに向いており、黄や赤の発色に優れているという特長を持っています。米国ではカラー新聞インキの8~9割が大豆インキで印刷されており、日本でもカラー新聞インキの年間需要のうち約3分の1を大豆インキが占めています。
 また、ディーゼル燃料として使われている植物油もあります。酸性雨の原因である硫黄酸化物の排出が少ないため、米国の空港内バス、ドイツのタクシーなどで実用化されています。日本では、京都市のゴミ収集車、東京都のサンクスネイチャーバスなど、廃食用油リサイクルの新たな用途として、実用化の緒に就いたところです。
 このように、私たちの生活を取り巻いている油脂製品。これらは、ひとつの原料を無駄 なく効率的に使い切るための工夫のたまものとも言えます。愛着を持って利用していただけたら、うれしい限りです。
■植物油の食用以外の用途と種類
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