第95号 植物油INFORMATION

パーム油の需給動向等について


(世界で最も生産されている植物油)

 世界中で、最も多く生産されている植物油がパーム油です。パーム油は、世界の植物油生産のうち、トップは、パーム油で62百万d、つぎは大豆油48百万d、日本で最も消費されている菜種油は26百万dとなっています。


パーム油の生産量は過去10年で2倍近くに増加


 パーム油は主に赤道近くの熱帯地域が主要産地で、アブラヤシの果肉から得られる永年性作物であり、年間通じて結実することから、生産力が増減するサイクルを有していますが、その需要は、世界的レベルで拡大基調が継続しています。
 パーム油の用途は広く、食用では、即席麺、スナックフライ、調理油、チョコレート、マーガリン、ショートニング、など極めて多用途に利用されている他、石鹸・洗剤類をはじめオレオケミカルと称される化学品や、バイオディーゼル等、多様な形態で利用されており、その需要拡大を支えています。
 需要がインド、EU、中国などが中心に各国に広がっているのに対して、生産は、実質的にはインドネシアが世界生産の54%、マレーシアが30%と、この2ヶ国がプランテーション形式で生産国国内需要を遥かに超える生産量を実現し、その大部分を輸出に振り向けているのが現状です。
 近年、国際的には森林破壊が気候変動の最大の要因とされ、森林を含む自然生息地の損失速度の抑制が求められます。こうした状況下、パームについてもよりサステナブルな生産がもとめられ、マレーシア、インドネシア等の生産国における環境維持、さらには、パーム畑で働く住民の労働条件をいかに図っていくのかといった課題への対応が求められてきています。

(最近の動向について)

 最近の生産動向を見ると、2015/16年のパーム油の世界総生産は対前年度比6.1%減の5,826万t、うちマレーシアは、対前年度比11.0%減の1,768万t、インドネシアは、5.5%減の3,140万tとそれぞれ減少したところです。とりわけ2015/16年の生産にあたっては、エルニーニョの影響が大きく、マレーシアにおいては、サバ・サラワク州を中心に乾燥傾向等が継続したところです。この結果、総輸出量も、対前年度比5.9%減の4,476万tとなりました。このうちマレーシアが対前年度比4.3%減の1,666万t、インドネシアが対前年度比8.8%減の2,376万t。しかし、パームに対する需要は根強く総消費は、対前年度比2.9%増の6,192万tとなりました。このうちインドが対前年度比0.5%増の915万t、インドネシアは、一昨年夏から開始された補助金制度によるBDF需要もあり対前年度比22.2%増の872万t。これに対して中国は、大豆搾油の増加で、パーム油から大豆油への需要シフトもあり、対前年度比10.0%減の526万tとなったところです。この結果、世界全体のパーム油期末在庫は、26.0%減の984万tと見通されていますが、うち日本が多く輸入しているマレーシアは、対前年比41.5%の減少が見通されています。

 このように2015/16年のパーム油の需給はタイトでしたが、2016/17年のパーム油の世界総生産は対前年度比9.5%増の6,380万t程度が期待されているところです。このうちマレーシアは、対前年度比9.5%増の1,937万t、インドネシアは、10.9%増の3,482万tと見通されています。そして、総輸出は、対前年度比4.6%増の4,682万t。このうちマレーシアが対前年度比1.5%増の1,690万t、インドネシアが対前年度比7.3%増の2,550万t。総消費は、対前年度比2.5%増の6,346万t。このうちインドが対前年度比4.1%増の953万t、インドネシアは、対前年度比6.5%増の929万t。これに対して中国は、対前年度比3.2%減の509万tとなっています。この結果、2016/17年の世界全体のパーム油期末在庫は、3.8%増の1,022万t程度増加が見通されているところです。

(国内の動向)

 パーム油は菜種油に次いで国内で2番目の供給になっています。

日本の植物油脂供給量

(2016年、千トン)


 我が国へのパーム油を始めとした熱帯油脂の輸入は、他の油種との相対価格や機能性等が評価され安定的に推移しています。
 平成28年(2016年1〜12月)の輸入総量は、ヤシ油及びパーム核油は減少したものの対前年比2.0%増の76万9千tとなったところです。このうちパーム油は、前年比4.4%増の64万7千t、ヤシ油は、前年比18.2%減の4万3千t、パーム核油は、前年比4.1%減の7万9千tとなっています。
 現在、パーム油は、食用に関しては、その酸化抑制の特性を生かした業務用のフライ油として、他の植物油とのブレンドとして利用される他、加工用としての即席めん、マーガリン・ショートニング、チョコレート、アイスクリーム等、極めて多様な形態での活用が進んでいるところです。
 現在のところ、我が国におけるパーム油需要は、現在の価格体系を前提にすれば、他の植物油との置き換えはほぼ終了している状況ではありますが、他の油種との相対価格や機能性等が高く評価され、今後とも安定的に推移しているものとみられており、さらに、燃料等の非食用途なり、養殖等の魚油代替分野等の分野でも利用なども注目されるところです。