一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

協会組織概要

新春ご挨拶


令和5年元旦
日本植物油協会会長
新妻 ⼀彦

令和5年の幕開けに当たって(年頭所感)
―「長寿国日本を支える植物油の価値向上をめざして」―

 明けましておめでとうございます。皆様には、令和5年の幕開けをお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。新しき年が皆様にとって希望に満ちたものでありますことを、心より祈念申し上げます。

 発生以来、長きにわたって世界中を席巻し、猛威を振るってきた新型コロナウイルスの影響で、我が国経済は大きな打撃を受け、現在もなお低迷状態を脱していません。この間、我が国政府は、4回にわたる緊急事態宣言の発令、また、まん延防止等重点措置も取られる中で、各種インフラは活動を維持し、生活に必要な食品小売業等の営業も通常通り継続されたものの、多くの企業活動は停滞を余儀なくされました。
 新型コロナ禍において、私ども植物油業界を始めとした食品産業は、国民の命を守る為、安定した食料生産とサプライチェーンの機能維持の役割を果たしてきたところですが、休業要請や外出自主規制に伴う外食産業の停滞の影響が大きく、業務用を中心に厳しい環境が継続しました。私ども植物油業界は、油糧原料価格の歴史的な高騰に加え、為替の円安や物流費、国際情勢の変化に伴うエネルギーコストの上昇等に直面し、経営計画や操業計画を構成する基礎的な与件に大きな変動が生じ、キャッチアップと克服に向けた厳しい試練に直面しています。

 国連食糧農業機関(FAO)は世界の食料価格の動向を示す数値として、植物油など主要5品目で構成される価格指数を毎月公表していますが、指数は昨年、歴史的な価格水準を記録しました。現在、少し落ち着きを取り戻していますが、過去に比べ、依然、高止まりの状況にあります。
 こうした背景には、ロシアによるウクライナ侵攻などの特殊要因もありますが、供給面では、温暖化に伴う異常気象、需要面では、植物油の優れた健康効果が世界的に認められ食用需要が一貫して増加している状況下、カーボンニュートラルの世界的潮流を受けバイオ燃料等の工業用の需要が拡大、需給両面で構造的変化が進展してきております。とりわけ、バイオ燃料需要の着実な拡大に伴い、これ迄にない原料農産物間の生産競合が生じております。

 こうした状況下、FAO及び世界保健機関(WHO)等が共同で発表した「2022年世界の食料安全保障と栄養の現状」によれば、近年、飢餓の影響を受ける人の割合は比較的横ばいに推移していたものの、2020年以降この割合が急増し、現在、世界人口の約3割に当たる23億人程度が中度または重度の食料不安に陥り、9億人以上が深刻なレベルの食料不安に直面している事態に対して警告を発しています。

 こうした変化の中、「食料の安全保障」という概念が、これ迄以上に重要になりつつあります。食用油脂の需給はタイト化しつつあり、これらの変化の多くは、構造的な変化とも言えるもので、不可逆的な事象である事を、輸入者・食品製造者から消費者に至るまで広く認識を共有し、国及び産業界全体で対策を検討する事が求められる時期に来ていると考えます。

 植物油を巡る内外の諸制度も変化してきています。対外的には、既にCPTPPやEUとのEPA、日米物品貿易協定(TAG)が発効し、植物油についても段階的に関税撤廃が進んでいます。一方、国内では、食品表示法のコアとなる食品表示基準が完全実施されるとともに、食品衛生法のHACCP等の施行への対応など、食に関する多面的な整備が継続して進められているところです。

 新型コロナ禍という未曾有の事態に直面し、生活様式や食のスタイルも変化していますが、ポストコロナにあって、所与とされてきたパラダイムが、今、内外ともに大きな変革を遂げようとしています。安全・安心と健康の維持向上に対する要求水準が一層高度化、複雑化し、高齢化の進展の一方で、近年、仕事や趣味にも非常に意欲的でチャレンジ精神が旺盛なアクティブシニアの増加、更にはITを活用した新たなライフスタイルの模索など、消費動向の変化が指摘されています。まさに、これ迄のルールや前提、常識といったものが大きく揺さぶられてきています。

 植物油業界は、我が国フードサプライチェーンのコア産業の一角を占める存在であり、国民の命と健康を支える価値ある植物油を安全、安心、安定的に消費者の皆様にお届けする責務を有しています。
 植物油関係各社は、植物油の品質の向上及び安定、植物油の美味しさを生かす利用法の提案や、非価格競争を通じ多様な商品開発に努めると共に、地球環境に対する社会的な様々な要請、植物油の使用期間の延長技術、脱炭素燃料化への取組み、包装容器の改善、標準化の追求等による物流改革、企業間連携による最適サプライチェーンの創出を含め、更なる生産性向上やサステナビリティ確保等の努力を通じて、業界全体の更なる発展を目指す所存です。
 本年は国の内外、分野を問わず、様々な事態が重層的に生じてくる事が予感されます。こうした時こそ共通する課題に対して真摯に対応し、会員相互がコンプライアンスに留意し、フェアな競争を行いつつ、一致団結して業界の健全な発展を推進して参らねばなりません。
 植物油を提供する各業界の皆様と共に、将来にわたり世界最高の長寿国ニッポンを支え、命と健康を守ると共に、多様な機能を有する「植物油の価値」の再認識と、更なる向上をめざし、安全、安心で確かな品質の製品の安定的供給体制の整備を業界全体として総力を挙げて取り組んでいく所存です。

 今後、私どもの業界内部はもとより、内外の関係者と積極的な対話と情報共有等を行うことを通じて、共に活力に満ちた活動を展開する必要があると考えております。日本植物油協会はこうした活動を中軸に、産業界が直面する課題の解決に努力する等、業界のプラットフォームとして業界全体の持続的成長に向けた事業展開に鋭意努める必要があると考えています。

 本年も皆様の倍旧のご交誼とご指導を賜ります事をお願い申し上げ、更に皆様にとりまして良い年になる事を祈念して年頭のご挨拶とさせていただきます。

(以上)