一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

協会組織概要

新春ご挨拶


令和4年元旦
一般社団法人日本植物油協会
会長 久野 貴久

令和4年の幕開けに当たって(年頭所感)―新たなるチャレンジに向けて―

 明けましておめでとうございます。皆様には、令和4年の幕開けをお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。新しき年が皆様にとって希望に満ちたものでありますことを、心より祈念申し上げます。

 昨年は、1964年の東京大会に続いて57年ぶりに東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、多くの感動場面は記憶に新しいところです。しかし、そのオリンピックも無観客となるなど、新型コロナウイルスに振り回された一年となりました。罹患された皆様、影響を受けていらっしゃる方々に、心よりお見舞い申し上げます。また、対応にご尽力頂いた皆様に敬意を表し、感謝申し上げます。

 オリンピック閉幕後、急速なワクチン接種率の増加もあり、新規感染者数は減少、4度に亘って発令された緊急事態宣言も秋には解除されました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症は、現在もなお世界中を席巻しており、新変異株出現など、依然として予断を許さない状況が継続しており、業界として、警戒を緩めることなく、今後とも万全の安全体制を維持・継続していくことが必要と考えます。

 我が国政府は、緊急事態宣言を発令以降も、生活に必要な食品小売業等の営業は通常通り継続されましたが、多くの企業活動は停滞を余儀なくされました。外出自粛やテレワークなど在宅勤務の急速な拡大で、家庭内での食事の機会が増えるなど、外食から内食へ消費のシフトが顕著に進みました。

 我々植物油業界をはじめとした食品産業は、国民の生活を守る為、安定した食料生産とサプライチェーンの機能維持の役割を果たしてきましたが、休業要請や外出自主規制に伴う外食産業停滞の影響が大きく、業務用を中心に厳しい環境が継続しました。

 国連食糧農業機関(FAO)は世界の食品価格動向を示す数値として、植物油など主要5品目で構成される価格指数を公表していますが、昨年来、歴史的な価格水準を記録しています。新型コロナウイルスの影響に伴う販売面での厳しい状況下、私ども植物油業界は、この歴史的な高騰に直面し、昨年は、数次に亘る値上げをせざるを得ないなど、そのキャッチアップに向けた大変に苦しい1年となりました。
 最近の油脂価格の高止まりは、供給面で温暖化に伴う異常気象も背景にありますが、需要面で、植物油の優れた健康効果が世界的に認められ食用需要が増加していることや、カーボンニュートラルの世界的潮流下、バイオ燃料等の需要も拡大するなど、需給両面での構造変化の進展によります。とりわけ、バイオ燃料需要の拡大に伴い、これ迄にない原料農産物間の生産競合が生じております。この様な穀物需給並びに価格に関する変化は一過性ではなく、長期的に継続する構造変化であり、これがもたらす需給と価格構造の変化に即応した国内市場の構築が私どもの喫緊の課題となっています。
 植物油業界は、こうした厳しい油糧事情の中で、消費者の皆様に安全安心な商品を安定的に届ける為にも、原料に相応した適正価格実現の取り組みを粘り強く継続し、命と健康を守る植物油のサステナブルな供給責務を果たしていくことが益々重要になっています。

 植物油を巡る内外の情勢は大きく変化してきています。現在、既にCPTPPやEUとのEPA、日米物品貿易協定(TAG)が発効し、植物油についても段階的に関税撤廃が進んでいますが、これに加え、昨年4月には東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が国会承認され、世界経済の3割を占める巨大な貿易圏が誕生しました。
 一方、国内では、食品表示法のコアとなる食品表示基準が完全実施されると共に、食品衛生法のHACCP等の施行への対応実施など食に関する多面的な法的整備が進められています。

 当業界は、我が国フードシステムのコア産業の一角を占める存在であり、国民の命と健康を支える価値ある植物油を安全、安心、安定的に消費者の皆様にお届けする責務を有しています。これ迄、政府は食品業界のコンプライアンス確立を求めると共に、偽装表示等の排除の為、食品表示法に基づく表示基準の見直しを進めていますが、その重要な柱の一つ原料原産地表示については、本年4月より完全実施が予定され、更に遺伝子組換え表示は来年4月施行を迎えることから、円滑な対応に努力する所存です。

 環境面への配慮も重要な課題です。国連はSDGs(持続可能な開発目標)を各国に強く要請、サステナビリティ確保は世界的課題です。政府は地球温暖化対策推進本部にて、2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ実現に向けて取り組む方針を決め、昨年10月には、温暖化ガス排出量を2030年までに2013年比46%削減目標とする新計画を閣議決定しました。
 植物油業界はこれ迄もSDGsを踏まえたサステナビリティ確保に積極的に取り組み、温室効果ガスについても、高水準で既に削減しておりますが、今後、各社の現状を踏まえて、着実に削減努力を継続していく所存です。また、容器包装リサイクル法に基づくプラスチック容器包装の再商品化については、制度のより良い発展に向け、社会的コスト全体の低減という原点を踏まえた対応を模索していく必要があると考えています。

 植物油については、健康関連報道の拡大を反映して、健康面等での植物油の機能が見直され、オリーブ油、ごま油、米油など多様な油が注目を集めており、植物油市場の活性化は評価に値するものです。業界としても、こうした動向を踏まえ一時的ブームに終わらせることなく、新型コロナウイルスにより生じた閉塞感を打破し「新たな植物油の時代」を創出していく為に、食用油全体の価値評価をより継続的かつ広がりのあるものとする市場活性化に向け、更なる努力を傾注してまいります。

 世界における新型コロナウイルス感染拡大の終息が未だ見えない中、本年は国の内外を問わず、分野を問わず、様々な事態が重層的に生じてくることが予感されます。
 こうした時こそ共通する課題に対して真摯に対応し、会員相互がコンプライアンスに留意し、フェアな競争を行いつつ、一致団結して業界の健全な発展を推進して参らねばなりません。
 その為には、私どもの業界内部はもとより関連業界の皆様と対話を行い、共に活力に満ちた活動を展開する必要があると考えております。日本植物油協会はこうした活動を中軸に産業界が直面する課題の解決に努力するなど、業界全体の持続的成長に向けた事業展開に鋭意努める必要があると考えております。

 本年も皆様の倍旧のご交誼とご指導を賜りますことをお願い申し上げ、更に皆様にとりまして良い年になることを祈念して年頭のご挨拶とさせていただきます。

(以上)