一般社団法人日本植物油協会は、
日本で植物油を製造・加工業を営む企業で構成している非営利の業界団体です。

協会組織概要

新春ご挨拶


令和3年元旦
一般社団法人日本植物油協会
会長 久野 貴久

令和3年の幕開けに当たって(年頭所感)―新たなるチャレンジに向けて―

 明けましておめでとうございます。皆様には、令和3年の幕開けをお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。新しき年が皆様にとって希望に満ちたものでありますことを、心より祈念申し上げます。

 昨年は、新型コロナウイルスが世界中を席巻しました。新型コロナウイルス感染症に罹患された皆様、影響を受けていらっしゃる方々に心よりお見舞い申し上げます。また、対応にご尽力されていらっしゃる皆様に深く敬意を表し、感謝申し上げる次第です。
 一昨年末、中国武漢で発生した新型コロナウイルスは、西欧諸国を飲み込み、さらに勢いを増して世界中にまん延、国際的な人の移動をはじめ、貿易財のサプライチェーンも大きく分断される事態となりました。

 我が国政府は、昨年4月の緊急事態宣言を発令以降、海外のような都市封鎖は行わず、金融や交通などのインフラは活動を維持し、生活に必要な食品小売業等の営業も通常通り継続されましたが、多くの企業活動は停滞を余儀なくされました。こうした中で、我々植物油業界をはじめとした食品産業は、国民の命を守るため、安定した食料生産とサプライチェーンの機能維持が重要な使命となったところです。

 外出自粛やテレワークなど在宅勤務の急速な拡大で、家庭内での食事の機会が増えるなど、外食から内食へ消費のシフトが顕著に進みました。私ども植物油業界も、従業員の安全管理を何よりも重視しつつ、外食、内食両面への十分な配慮を怠ることなく、こうした変化に対応した食の安定供給へ努めて参りましたが、とりわけ休業要請や外出自主規制に伴う外食産業停滞の影響が大きく、業務用を中心に厳しい環境が継続しました。

 植物油を巡っては内外で大きな変化がありました。昨年は、米国大統領選挙が実施され、政権交代のシナリオが進んでいますが、国際貿易の分野でも協定交渉等の進展が見られました。現在、既にCPTPPやEUとのEPA、TAG(日米物品貿易協定)が発効し、植物油についても一定期間で段階的に関税撤廃が進んでいますが、これに加え、昨年末にはRCEP(東アジア地域包括的経済連携)が締結され、今後国会での認証検討が進むこととなりました。
 一方、国内では、食品表示法のコアとなる食品表示基準が完全実施されると共に、食品衛生法のHACCP等の施行への対応実施など食に関する多面的な法的整備が進められたところです。

 近年、我が国の食品市場については、少子高齢社会の進行という構造的問題の影響が徐々に顕在化してきています。植物油業界においては、既存の商品群を中心に為替や国際市場の変化を受け止めるだけの余力が十分にない状況が継続しています。昨年は世界的な油脂原料の価格上昇の中で、業界各社は粘り強く油脂の適正価格の実現に挑戦し続けたところですが、消費者の皆様に安全で安心な商品を安定的に届ける責務を果たすためにも、コストの製品価格への適正な反映と価格形成力の強化という課題が、これまで以上に植物油業界に課されているところです。

 こうした状況下、一方で、マスコミ等による健康関連報道の拡大を反映して、健康面等での植物油の機能が見直され、小売店における食用油売場の注目度が高まるなど、植物油市場の活性化が進んだことは評価に値するものです。
 日本植物油協会の最新のアンケート調査でもオリーブ油、ごま油、あまに油、えごま油、米油など多様な油が注目を集めており、食卓に登場するメニューへの使用頻度が増えているところです。業界としても、こうした動向を踏まえ一時的ブームに終わらせることなく市場活性化に向け、さらなる努力を傾注する所存です。

 当業界は、我が国フードシステムのコア産業の一角を占める存在であり、国民の命と健康を支える価値ある植物油を安心、安全、安定的に消費者の皆様にお届けする責務を有しています。
 今後、デジタル革命や「働き方改革」等の進展を踏まえ、物流をはじめとした植物油フードシステム全体の効率化・高度化をさらに推進、業界全体としての競争力強化が求められています。加えて、各企業が非価格競争につながる多様な商品開発を進めることなどを通じて、食用油全体の価値に対する評価をより継続的かつ広がりのあるものとする価値創出の取り組みを業界全体として進めていく必要があると考えます。

 環境面への配慮も忘れてはいけない課題です。国連は2030年を目標としたSDGs(持続可能な開発目標)を各国に強く要請、サステナビリティの確保が世界的な課題となっています。昨年、政府は地球温暖化対策推進本部にて、2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロの実現に向けて政府一丸となって取り組む方針を決めたところです。
 植物油業界はこれまでもSDGsを踏まえたサステナビリティの確保に積極的に取り組み、温室効果ガスについても、これまで他業界より既に高い水準で削減しているところですが、今後、各社の現状を踏まえて、着実に削減努力を継続していく所存です。また、容器包装リサイクル法に基づくプラスチック容器包装の再商品化については、制度のより良い発展に向け、社会的コスト全体の低減という原点を踏まえた対応を模索していく必要があると考えています。

 新型コロナウイルスの感染拡大の収束が未だ見えない中、日本のみならず世界を取り巻く経済環境にも大きな打撃は避けられない状況下、本年は国の内外を問わず、分野を問わず、様々な事態が重層的に生じてくることが予感されます。
 会員各社がコンプライアンス等に重きを置いた経営を果たしていくことは当然でありますが、こうした時こそ共通する課題に対して真摯に対応し、会員相互がフェアな競争を行いつつ、一致団結して業界の健全な発展を推進して参らねばなりません。このためにも私どもの業界内部はもとより関連する業界の皆様と対話を行い、共に活力に満ちた活動を展開する必要があると考えております。日本植物油協会はこうした活動を中軸に産業界の直面する課題の解決に努力するなど、業界のプラットフォームとして業界全体の持続的成長に向けた事業展開に鋭意努める必要があると考えています。

 本年も皆様の倍旧のご交誼とご指導を賜りますことをお願い申し上げ、さらに皆様にとりまして良い年になることを祈念して年頭のご挨拶とさせていただきます。

(以上)