どこまで伸びる、中国の植物油需要

1.東アジア植物油フォーラム

 東アジア植物油フォーラム(East Asia Vegetable Oil Forum)は、中国、台湾そして日本の植物油業界で構成する小さな会議体です。中国の「中国植物油行業協会」、台湾の「台湾区植物油製煉工業同業公會」、そして私達の「日本植物油協会」で構成し、概ね2年ごとに会合を開催し、それぞれの情勢を報告して意見の交換を行ってきました。

 この会議体は、日本植物油協会が結成を呼び掛けて、2007年5月に第1回会合を東京で、第2回会合を2010年9月に北京で開催し、第3回目を本年4月に台北で開催しました。
 日本植物油協会が、このフォーラムの結成を呼び掛けたのは、業界構造には大きい相違がありますが、油糧原料の輸入国として共通した立場にあることや、世界の製油産業に対して東アジアの3か国・地域が結束して発信する必要性があると考えたことによります。

 この3か国・地域は、世界の製油産業の中でどのような位置づけにあるのか、まず、簡単にご説明しましょう。

 表1,2,3は、この3地域が世界の植物油の中で占めている位置を示しています。この15年ぐらいの間に世界でも有数の植物油生産・消費国となった中国が含まれているため、原料の搾油量(処理量)、植物油の生産量、植物油の消費量の20%以上をこの3地域で占めていることが分かります。アジアの東端に位置する3か国・地域は、世界有数の植物油の生産基地であり、消費地であるのです。そして、油糧種子と植物油の輸入国であるという特徴があります。中国は、菜種、大豆、落花生などの大生産国ですが、巨大な国内需要を満たすには程遠く、必要量の90%を輸入に依存しています。米を主体とする食生活も似通っており、お互いに共通した課題を抱えています。それが、このフォーラムが誕生したきっかけでした。


【 表1 主な油糧種子の搾油数量(2011暦年) 】
(単位:千トン)
中国 台湾 日本 世界合計 3地域の
割合(%)
大豆 54,500 2,272 2,067 58,839 223,006 26.4
綿実 9,259   24 9,283 32,935 28.2
落花生 4,740 14   4,754 9,949 47.8
ヒマワリ種子 660     660 31,591 2.1
菜種 12,780   2,349 15,129 58,522 25.9
ごま 535 8 94 637 2,035 31.3
合 計 82,474 8 2,443 84,925 358,038 23.7
資料:ISTA Mielke社「Oil World年報」(各年版)

【 表2 主な植物油の生産量(2011暦年) 】
(単位:千トン)
中国 台湾 日本 世界合計 3地域の
割合(%)
大豆油 9,638 432 402 10,472 41,562 25.2
綿実油 1,500   5 1,505 4,859 31.0
落花生油 1,872 6   1,879 4,030 46.6
ヒマワリ油 180     180 13,098 1.4
菜種油 4,838   1,027 5,865 23,657 24.8
ごま油 231 9 45 285 865 33.0
合 計 18,259 447 1,478 20,184 88,071 22.9
資料:表1に同じ

【 表3 主な植物油の消費量(2011暦年) 】
(単位:千トン)
中国 台湾 日本 世界合計 3地域の
割合(%)
大豆油 10,976 428 416 11,819 42,152 28.0
綿実油 1,500   9 1,508 4,823 31.3
落花生油 1,935 6   1,941 4,029 48.2
ヒマワリ油 238 9 17 264 12,945 2.0
菜種油 6,025 30 1,059 7,114 24,050 29.6
ごま油 229 3 41 274 865 31.6
パーム油 6,211 155 587 6,953 49,049 14.2
合 計 27,114 632 2,128 29,873 137,913 21.7
資料:表1に同じ

MENUNEXT