日本の大豆搾油業の黎明

1.優れた豆類としての大豆

 大豆が優れた豆類であるとの位置づけこそ、このセンターが設立された背景にあるのでしょう。
 世界でどれだけの種類の油脂があるのか数えたことも、それに関する資料もありませんが、同センターでは世界に数多ある油脂の中で特に重要とされる油脂は23種類であるとしており、次の5つのカテゴリーに分類しています。

  ① 食用植物油(世界の油脂供給の過半を占める)
  ② 動物性油脂(ラード、タローなど)
  ③ パーム油
  ④ 工業用植物油(ひまし油など)
  ⑤ 水産油脂(魚油、鯨油など)

パーム油は植物油の一つであると私たちは考えますが、このセンターでは他の植物油とは異なる独立したカテゴリーとして整理されています。

 これらの中で、大豆油は特に重要なものと位置付けられます。大豆は油分と良質のたんぱく質を含み、この2つの主要成分を取り分けた大豆油と大豆ミールは商品としての需要が非常に強く、そして一方では大豆そのものも食用にもなるという特徴があります。このような特質を有する豆類は、落花生を除けば他に類がありません。
 しかし油分が多いと言ってもたかだか19%程度に過ぎない大豆がなぜ重要なのでしょうか。それは次の理由によります。

  ①  競争的な価格・収益
  油とミールという二つの主要生産物が発生すること。大豆搾油業では、この二つを共同生産物(Co-products、または、Joint products)と称している。このことが他の豆類に比べて有用性を高め、また価格を競争的なものとしていること。
  ②  生育期間が短い単年性作物
  この作物的な特徴が、需要の変化に敏速に対応できる要因を与えている。
  ③  脂肪酸の栄養的価値
  他の植物油と同様に、不飽和脂肪酸を豊富に含む油であること
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