ちょっと不安が生じた菜種の供給
7.カナダ小麦局の改革

 会議で披露された話題の一つが、カナダ小麦局(Canadian Wheat Board:略称CWB)の改革でした。カナダ農業・農産食料省から出席された代表は、次のように説明されました。

 「カナダ農業・農産食料大臣は、6月13日に議会の施政方針演説において、2012年8月を目処に、小麦、大麦及びデュラム小麦のCWB独占体制を廃止することを約束した」

 CWBは平原3州で生産される小麦、大麦、デュラム小麦の流通を独占する政府機関です。これらの穀物を生産農家から最低保証価格で買い入れ、輸送し、販売・輸出を一元的に管理している機関です。市場で販売した金額から所要経費を差し引き、最低保証価格との差額を精算します。もし市場価格が最低保証価格を下回る場合は、最低保証価格が農家の手取り価格となります。

 この独占体制が廃止され、これらの穀物の流通や販売が自由市場に委ねられるとどのような影響が生じるのでしょうか。そして菜種の生産・流通にどのような影響を及ぼすのでしょうか。他の穀物に対する菜種の優位性に変化が生じるのでしょうか。CWBは平原州から輸出港までの鉄道輸送について強い権限を有していますが、独占の廃止で権限が弱まると様々な物品の輸送状態が変わるのでしょうか。

 CWBの改革は長い間の課題で、何度も改革が俎上に上っては小規模な改善に止まっていた経緯があります。しかし今回は大臣が議会で明言されており、その実行は確実と見込まれます。政府とCWBは既に改革のための協議を開始していますが、それがどのような結論に達するのか私どもも注視して参ります。


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