(1)高温・乾燥に襲われるアメリカの主要大豆生産地
2007/08年のアメリカの大豆生産は、前年から一転して大幅な減産が予想されています。
バイオエタノール需要の高まりと、その原料となるとうもろこし価格の上昇によって、とうもろこしの作付面積が大幅に増加する一方、大豆作付面積が減少したことによるものです。
8月13日のアメリカ農務省の農業生産予測によれば、とうもろこしの作付面積は7,830万エーカー(約3,270万ha)から9,290万エーカー(3,760万ha)へ19%増加したのに対し、大豆は7,550万エーカー(3,055万ha)から6,410万エーカー(2,594万ha)へと減少しました(図1参照)。 この面積の減少に伴い、大豆生産量は前年より約1,500万トン下回る7,100万トンと予測しています。
しかし、EUと同様にアメリカも異常気象に襲われました。大豆やとうもろこし生産の中心地である中西部(いわゆる、コーンベルト地帯)を取り巻くように干ばつ状態が続き、8月にはコーンベルト地帯にも広がってきました。その反面、局地的な多雨により土壌水分が過多となる地域もありました。
私どもは、8月中旬にイリノイ州の大豆生産状況を調査し、アメリカの大豆関係者との意見交換を行いました。そこで報告された大豆の生育状況は、地域によって大きい差異があり、全体としては平年並みで農務省の予測を裏付けるものでしたが、干ばつ地域では平年以下の収量に悩む姿が示されました。
この意見交換のさなかに、五大湖周辺地域は猛烈な雷雨と疾風に襲われ、一部地域が洪水状態になりました。大豆は過剰水分に弱いという作物上の特性があります。たわわに鞘を実らせていた大豆が、そのようになるのかが懸念されされましたが、去る9月13日の農務省予測ではこの懸念げ現実のものになり、収量の低下に伴い生産量は若干減少するとの見込みが示されました。アメリカの大豆は収穫の時期を迎えていますが、最終的にどのような結果が出るのか注目しなければなりません。
【 図1 アメリカの大豆ととうもろこし作付面積の推移 】
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