拡大を続ける東アジアの植物油市場
1. 世界植物油市場の5分の1を占める東アジア地域

 世界の植物油生産地域というと、すぐに、アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、EU、そして、パーム油のマレーシアとインドネシアなどの国・地域を思い浮かべます。しかし、東アジア(中国、台湾、韓国及び日本)がこれらを凌駕する存在になっていることは見逃しがちです。

 世界の植物油の生産と消費に占める東アジアの位置づけを見ましょう。

 表1は、国際流通が可能な油糧種子から生産される主要7種類の植物油について、世界と東アジア地域の生産量を示しています。パーム油やオリーブ油は、原料(種子)で国際流通ができないため、原料の生産地=油の生産地になることから、この表には含んでいません。中国が植物油の巨大生産国となったことにともなって世界の植物油の5分の1弱が東アジアで生産されることとなりました。中国の生産がなお拡大を続けていることから、そのシェアは更に高まっています。ちなみに、同じ基準で比較すると、EUは15%、アメリカとカナダを加えた北米は18%、ブラジルとアルゼンチンを加えた南米は18%となっています。
  
  植物油の消費地という点でも東アジアは世界の拠点となっています。表2は、パーム油やオリーブ油を加えた世界と東アジア地域の植物油の消費量を示しています。世界の植物油の概ね5分の1が東アジア地域で消費されています。世界の製油業界の熱い視線がこの巨大な市場に注がれているといっても過言ではありません。


【 表1 世界と東アジアの植物油生産量 】

表1 世界と東アジアの植物油生産量

【 表2 世界と東アジアの植物油消費量 】

表2 世界と東アジアの植物油消費量
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