植物油に関する使用実態意識調査から

4.植物油の使用状況について

 現在、国際的には森林破壊が気候変動の最大の要因とされ、森林を含む自然生息地の損失速度の抑制が求められています。こうした状況下、マレーシア、インドネシアなど現地のパーム畑で働く住民の労働条件、強制移住などの人権問題、さらには、パーム油調達を巡って環境や人権問題を中心に多くの課題が指摘されてきているところです。
 こうした中、パーム油を含む製品を提供していた国際的な食品大手企業が環境対応等につき批判を浴びたことなどもあり、経営リスク軽減のためにも、パーム油への適切な対応が求められるなどの動きが本格化しました。こうした現状を受け、グローバルにサプライチェーンを抱える西洋の企業を中心に、パーム油の持続可能な調達を推進する民間のNPOであるRSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議)による第三者認証としてRSPO認証を取得する動きが広まっているところです。一方、こうした欧州主導のパーム油の持続可能な調達を推進する認証方式に対し、森林伐採の防止、生物多様性の減少の阻止、さらに地元の人権を守るといった目標を掲げてマレーシア政府がMSPO( Malaysian Sustainable Palm Oil)、インドネシア政府がISPO( Indonesia Sustainable Palm Oil)など独自の基準の認証制度を立ち上げている他、賛同した会社に対してのサプライチェーンの評価機関として活動しているパーム油環境団体として、NPOであるTFT(The Forest Trust)、Pro Forestなどが森林保護を目的とした活動をしているなど、色々な取り組みが始まっています。
 こうした世界的なパーム油への関心の高まりの中、日本企業の間にも持続可能なパーム油の調達へ向けた動きが徐々に活発化しつつあるところです。

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