一般社団法人 日本植物油協会 社団法人日本植物油協会は、日本で植物油を生産している企業で構成している非営利の業界団体です。

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協会組織概要

新春ご挨拶


平成30年元旦
日本植物油協会会長
今 村 隆 郎

平成30年の幕開けに当たって(年頭所感)―食の基幹産業としての更なる充実に向けて―

 明けましておめでとうございます。皆様には、平成30年の幕開けをお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。新しき年が皆様にとって希望に満ちたものでありますことを、心より祈念申し上げます。

 昨年の世界経済を顧みますと、米国のハリケーン、欧州・中東の政治不安、極東アジアにおける地政学リスクの高まりなどの影響が懸念されたものの、先進国では、日米欧とも緩やかに持ち直し、新興国も、金融・財政政策の効果や堅調なインフラ需要等を背景に、総じて回復傾向が持続したところです。また、各国での金融緩和姿勢を受けて、国際的なマネーフローも安定し、長・短期金利も低水準で推移しました。マーケットにも底堅さがみられ、日米欧の株価は、過熱感が警戒されながらも上昇トレンドが持続しました。加えて、グローバルな貿易取引の活発化のもとで、原油価格等は上昇傾向を強めているとはいえ、数年前からみれば比較的低水準で推移し、景気を下支えしたところです。

 こうした中、我が国においては金融緩和を中軸とした経済活性化対策が継続、戦後のいざなぎ景気を超える長期記録が達成され、昨年7~9月期の実質GDPも7四半期連続のプラス成長となったところです。しかし、一方で、民間消費、住宅投資が7四半期ぶりに減少するなど、家計部門の動きは弱く、日銀の物価目標の達成の展望も見込めないなど、未だ、デフレ脱却局面には至らない状況にあり、その行方には依然不透明感が漂っております。

 消費者にも景気回復の実感は乏しく、実質賃金の低迷や、年金、医療など社会保障等に関する将来不安が解消されていないことなどもあり、生活防衛意識が強く働く状況が継続しています。当業界においても、マスコミ等を通じて一部の健康油に焦点が当たるなどの動きが見られましたが、市場の成熟化が進展する中、消費者の節約志向や低価格志向が継続しており、中食、外食の伸びの一方で、全体としては、厳しい局面となっております。

 私ども植物油業界は、必要な油脂原料を海外の限定された国に依存しております。国際市場において、多くの油脂原料の増産が見通されているにもかかわらず、中国を始めとした新興経済国の食料需要の拡大に伴う旺盛な需要の拡大等を背景に、穀物相場は高値圏を持続する状況にあります。また、原料調達コストにダイレクトな影響を及ぼす為替レートは米国の利上げ継続に伴う日米金利差拡大を主因として、円安ドル高基調が継続しております。私どもは、これまでも変動する消費者ニーズに即した新商品開発や商品機能の高度化など、新領域の開拓にも鋭意取り組んできましたが、植物油の価値を正当に評価いただく国内市場の構築が不可欠であるとの認識を新たにし、ますます粘り強い挑戦が必要となっていると強く感じております。

 今年は、植物油を巡って、いくつかの外部環境の変化が予想されます。

 政府は、昨年7月、日欧EPAに大枠合意、11月には米国を除く11カ国でTPPの発効に大筋合意しました。新協定は「包括的および先進的なTPP」との名称で、知的財産権を中心とした凍結ルールはあるものの、原則、TPPに準拠したものとされており、当業界との関係では、植物油関税や農業関係の見直しが想定されることから、今後の展開を注視する必要があると考えています。

 また、消費者庁において、検討が進められてきた加工食品の原料原産地表示に関しては、昨年9月1日に食品表示基準の改正、公布が行われ、経過措置期間について概ね5年とされたところです。実施に向けた大枠が決定されたことを受けて、今後、消費者の皆様の期待に応えるよう、協会として適正表示の具体化に鋭意取り組む所存であります。

 また、原料原産地表示の決着を受けて、消費者庁は、「遺伝子組み換え表示制度に関する検討会」での議論を進めています。遺伝子組み換えについては、導入されてから既に20年の期間が経過していますが、世界各国において、何ら健康上の問題は発生しておりませんし、世界中の研究者によりその安全性が確認されています。本件に関しては、消費者庁の検討委員会において、製品中に遺伝子組換えDNAを含まない精製された植物油について、これまでどおり表示の対象とせずとする議長裁定が示されたところではありましたが、議論は継続しており、今後とも、緊張感をもってフォローしていく必要があろうかと思います。

 温暖化等環境対応も、CSR対応の面からしても重要な課題となっています。この関係では、国際的には、COP21で「パリ協定」が採択され、これを受け我が国は、「地球温暖化対策計画」を閣議決定したところですが、その後、米国の協定離脱宣言がなされました。また、我が国においては、原子力の再稼働などの条件整備が整わず、更なる削減見通しは不透明な状況となっています。業界としては、今後、政府の動向や当方の実績などを見極めた上で、「環境自主行動計画」により引続き積極的に対応していく所存でございます。

 その他、環境対応では、容器包装リサイクル法に基づく「プラスチック容器包装」の再商品化についても、社会的コスト全体の低減という原点に戻って、制度の改善の模索をしていく必要があると考えています。

 改めて申すまでもなく植物油は全ての年齢層にとって重要な栄養源であり、健康の維持、身体機能の適正化に不可欠な食品であります。昨今の健康油ブームで、改めて植物油の健康効果が見直されてきていますが、新しい価値の提供による植物油市場の活性化や植物油をベースとした新たな成長基盤構築に向け、業界全体で努力していくことがますます重要になってきています。今後、高齢化の進展の中で、むしろ植物油の価値は益々見直されていくものと思います。こうした状況下、私ども植物油脂産業界が一致して国民の命と健康を守る植物油脂を安全・安心、安定的に供給するという強い使命感と責任感のもとに、その役割を果たす決意を内外に示すことが重要になるかと存じます。

 本年は、食の基幹産業としての更なる充実を図り、食品産業全体の繁栄を目指し、関連する食品業界の方々と共に活力に満ちた攻めの活動を展開する必要があると考えております。皆様の倍旧のご交誼とご指導を賜りますことをお願い申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。

(以上)