菜種生産の限界に挑むカナダ

3.将来に向けて

昨年(2013/14年)、カナダの菜種生産は1,800万tの記録的大生産となりましたが、小麦、大麦等も豊作となった結果、バンクーバーへの輸送貨車や輸出エレベーターのキャパシティーが限界となり、調達に支障が生じる状況となり、日本への菜種の現物輸入価格も高止まりする事態となりました。こうした状況を踏まえ、今年の3月には、日本植物油協会は油糧輸出入協議会と連名で、CCCに対して解決に向けた努力を要請する意見書を提出したところです。この件に関してCCCは、これまでの日加菜種協議の成果を踏まえ、物流問題の解決に向けカナダ政府に対する積極的な働きかけを行っており、その結果、物流全般のサプライチェーンの円滑化を目指す“Fair Rail for Grain Famers Act”が今般、議会を通過し、輸送の円滑化が次第に実現し始めています。
なお、CCCは2007年に、2015年までに1,500万tの菜種の生産を達成する計画“Great Growing 2015”を策定し、その実現に努力してきました。昨年、その目標を2年前倒しで実現したことから、今年、新たに2025年を目標とする10カ年計画である“Keep it coming”を策定し、生産量として2,600万t、収穫面積目標は、2,200万エーカー(約890万ヘクタール)に設定し、単収は基準年を30%上回る1エーカー当たり52ブッシェルを見込んでいます。この計画につき、CCCは“It's amazing one more bushel what Canadian canola can do”(カナダの菜種だからこそできる、驚異の1ブッシェルの増収)として、今後、高収量品種の開発菜種を進める一方で、菜種栽培技術の改良に関わる試験研究機関、各地に配置された農業指導員は、優れた成績を上げた農場の事例を分析し、汎用性のある栽培技術として体系化し、普遍性のある技術として広範に伝達して行くことに務めることを呼びかけているところです。カナダ国内の菜種搾油企業は、この数年の間に菜種搾油能力を段階的に引き上げ、現在では年間850万トンの菜種を搾油する能力を有しています。“Keep it coming”では、搾油能力は更に増強、現行能力の2倍近くなると見込んでいますが、この水準になれば、現在はアメリカが主体となっている菜種油の需要先を、更に他の地域に広げていくことが必要になるものとみられるところです。
今年(2014/15年)は、その計画のスタート年となります。現在は、今年の菜種の実際の展開がどうなるかに強い関心が集まっています。一方、需要に関しては、カナダ国内の強い搾油需要に加え、昨年も増加した中国の動向が注目されるところです。国際的相場は、極めて高い水準にあり、なたねの安定供給、市場への影響が懸念されているところです。
このような状況下、これまで長年に渡って築かれてきた両国の信頼関係に基づき、引き続き、高品質なカナダの菜種が合理的な価格で安定的に確保されることが望まれているところです。次の日加菜種協議は、今年11月に東京で本会議の開催が予定されています。

PREVMENU