時間栄養学とは

1.私たちの身体に備わる「体内時計」

 私たちの身体には、約24.5時間の周期のリズムを刻む概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ばれる体内時計が備わっています。この体内時計の働きによって、睡眠―覚醒リズム、体温リズム、食事リズムなど生活リズムが作られているのです。

 海外旅行をしたときに、現地の時刻が自分の活動と一致せず、いわゆる時差ボケを感じることがあることで、身体に体内時計があることがわかります。さらに早朝に生まれる子が多いこと、喘息発作が明け方に多いこと、虚血性心疾患が朝方に多いことなども、体内時計に起因しています。このように体内時計は身体に1日のリズムを与えることにより、昼間は活動的に、夜間は安静的にさせているので、概日リズムに従った生活を実践することが生活リズムを整えることにつながるのです。

 体内時計を動かす時計遺伝子「Clock」が1997年にマウスから見つかりましたが、最近の研究では、脳の視交叉上核に親時計があり、全身の臓器に子時計があることがわかってきました。このことから、肝臓の時計はエネルギー代謝に、腸の時計は栄養の吸収に、脳の時計は感情の日内変動に関わるかもしれないと考えられるようになってきたのです。

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