ちょっと不安が生じた菜種の供給
5.変動が大きい中国向け輸出

 表2は、2011/12年におけるカナダ産菜種の国別輸出予測量を示しています。古くからの需要国である日本とメキシコ向け輸出量は安定したものとなっていますが、中国向け輸出数量が大きく変動していることとEUが新たな輸出先の仲間入りしたことが特徴です。


【 表2 2011/12年度の菜種の輸出予測 】

(単位:千トン)
  2008/09年 2009/10年 2010/11年
見込
2011/12年
予測
日  本 2,066 2,032 2,196 2,143
メキシコ 1,163 1,249 1,283 1,250
アメリカ 698 579 355 410
中  国 2,874 2,211 905 1,720
パキスタン 385 313 858 613
UAE 530 473 745 717
バングラデッシュ 129 115 133 117
EU 0 0 314 463
その他 0 95 0 0
合  計 7,844 7,067 6,788 7,433
注:カナダの輸出業界による予測

 中国向け輸出は、2010/11年の急減からV字回復の予測となっています。これは、カナダに生息するBlackleg菌(黒足病菌又は空洞病菌)の種類が中国に生息していないことを理由に、菜種種子の輸入に規制をかけたことによるもので、その反面、菜種油や菜種ミールを輸入することで、種子輸入の不足分を補ってきました。菜種油と菜種ミールを種子に換算すると、カナダへの菜種油出量はこの3年間400万トンを超えています。2011/12年には、種子の輸出が増える代わりに、菜種油の輸出が減少すると見込まれています。

 EUは、域内の菜種生産の不安からカナダ産菜種に対する需要が増えています。EUでは、菜種油の最大の用途はバイオディーゼルですが、カナダ産菜種は全量がそれに充足されることとなります。2009年以前は、遺伝子組換え菜種の食用利用についての認可が遅れていたため、EUはカナダ産菜種を輸入することができず、バングラディッシュなどの国にカナダ産菜種を輸入し、菜種油に加工してEUに持ち込むという方式をとっていました。しかし2010年に遺伝子組換え菜種が認可されたことから、種子の輸入が可能になったものです。今後EUが本格的にカナダ産菜種の輸入に踏み切れば、国際需給に大きい影響を及ぼすことが懸念されるところです。


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