植物油とパン粉、おいしい関係
6.トンカツをじょうずに揚げましょう

  トンカツのじょうずな揚げ方(衣の作り方、まぶし方、揚げ温度、上がり具合の見分け方など)をご紹介いただけないでしょうか。

  まず、肉の筋を切り、全体に叩くかフォークで穴をあけ、塩・コショウで下味をつけます。小麦粉を全体に薄くまんべんなくまぶし、溶き卵にムラなく通します。
  バットにひろげたパン粉に肉をのせ、上からパン粉まぶし、手で軽く肉をおさえる様にしますと、きれいにパン粉が肉につきます。

【 図5 おいしいトンカツを作りましょう 】

肉の筋を切る
小麦粉を薄くむらなくはたき
肉の筋を切る 小麦粉を薄くむらなくはたき
溶き卵をくぐらせ
手で軽く押すようにパン粉をまぶす
溶き卵をくぐらせ 手で軽く押すようにパン粉をまぶす

  揚げ鍋はフライ鍋がベストですが、なければフライパンや中華鍋を使用してください。
  揚げ油は使いかけの油でも問題ありませんが、劣化が進んだ油ではカラッとした揚げ物は出来ませんので、使いかけの油の量は半分までを目安に新しい油を使ってください。
油の量はトンカツの厚さの2倍以上の深さを目安にします。一度に揚げるトンカツの量は鍋の表面積の1/2以下を目安にし、約180度に熱した油で揚げましょう。油の量が少なかったり、投入するタネが多すぎると油の温度が一気に下がり、美味しいフライを作ることが難しくなります。

  揚げ上がりの目安は、“大きく出ていた泡が細かくなったら”、“パチパチしていた音が小さくなったら”などと言われますが、“衣がキツネ色に色付いてきた”タイミングを目安に、トンカツを箸でつかみ“指に振動が伝わってくる(肉汁が沸騰している)”のを確かめ、油から出すのが分かりやすいと思います。火のそばから離して5分を目安に油切りをします。
  揚げる時間は、3分~5分が目安で、お肉の厚みや、鍋に投入する量によって変わります。

  名人が秘訣をそっと伝授!

  カツといえばトンカツというのは関東地域の定番。でも、関西では牛肉を揚げるビフカツが定番です。関西、特に近畿地方では、“肉”と言えば牛肉を指すのが普通という食文化が形成されてきました。これは、近畿地方では、農耕に使用する家畜が牛であったことに由来します。耕耘機が普及する以前、農家は農耕用の牛を飼い、馬喰(ばくろう)が定期的に農家を訪れて牛を交換するシステムがありました。この牛が牛肉になっていたのです。

  昭和30年代後期から耕耘機が普及し、農耕用の牛が姿を消しました。そして、肉牛を専門に使用する畜産が発達することになります。

  本文中で述べましたとおり、日本のカツレツの歴史はビフカツから始まっています。このホームページの、「熟練の技に学ぶ“職人の知恵袋”」コーナーで、京 都「はふう」のビフカツの名人である大西料理長が、皆様にビフカツをおいしく揚げる秘訣を伝授していますので、併せてご覧ください。

PREVMENU