2007年度 主婦調査実施の概要

7.ごまの争奪、そして価格の高騰

 需要の増加に答え、ごまの生産量はこの4年間で約14%増加しましたが、輸入需要は同じ期間に42%増加しています。わずか350万トンの生産量に対し、貿易量は約30%の比率となりました。

 このような需要の急増は、輸入国間の数量確保競合の激化と国際価格の高騰をもたらしました。

 ごまは、もともと貴重な油糧種子として大豆など他の油糧種子に比べて高い価格が形成されてきました。

 したがって、最近の油糧種子価格の上昇に、ごま自体の需給逼迫と激しい輸入競争が加わり、ごまの国際価格が一段と高い段階に押し上げられています。


 ところで、ごまには、大豆や菜種のような国際的な透明性の高い取引市場がありません。したがって、売買当事者それぞれが有する情報を基礎に相対の取引を行うこととなります。

 ごまの輸入を業務とされている人達から、輸入国によるごまの争奪は日増しに激しくなり、金に糸目を付けない買い方をする国に日本がいわゆる“買い負け"を喫することも珍しくなくなったと聞くことが多くなりました。

 また、主要な供給国であるアフリカ諸国は、最近の世界的な穀物・農産物価格の高騰のしわ寄せを最も強く受けている国々です。

 かっての飢餓輸出(国内供給が不足しても、外貨獲得のため輸出をする行為)の時代から、これらの国々も国内の食料供給確保のため、食料を海外に輸出することをできるだけ抑制しようとする動きが強まっています。

 激しい原料確保競争と輸出抑制のなかで、ごまの価格は急騰を続けています。

 平成16年6月に、このホームページで、「急騰を続けるごまの国際価格」を紹介しました。当時、日本が輸入するごまの価格が、それまでにない1トン当たり1,500ドルを超えることをお伝えしましたが、現在では、搾油用のごまでは1トン当たり2,500ドルが恒常化しており、他の食品用途(すりごま、ペースト等)のごまでは4,500ドルという水準に達しています。


 次のような信じがたい話題があります。

 「ある輸出国へごまの買付に行くと法外な手付け金を要求される。取引のための手付け金ではなく、農家がこれから播種するための種子、肥料、薬剤に必要な資金を融通するためである。収穫の時に、優先して販売するが、必ず一定数量の供給を約束するものではない。」

 取引契約でもないこのような要求が、ごく当たり前のように行われる、それがいまのごまの国際市場の実態です。私どもも、この先、ごまの価格がどのような段階に到達するのかを予測することはできません。

 先頃、OECDとFAOの合同作業部会は、穀物や油糧種子の価格は、少なくともこの10年間は高値を維持すると予測しました。伝統食品と位置づけながら国内生産基盤を持たないため、伝統食品を食べることができない時代がやってくるのでしょうか?


 冒頭に述べましたとおり、ごまとごま油は豊かで伝統的な食生活の発展に貢献してきました。

 ごま油の香りがもたらす豊かな食生活を継続することは、日本植物油協会に集う製油企業の私ども会員企業の願いでもあります。このため、会員企業は、異常ともいえる環境の中で懸命にごまの確保努力を重ねています。

 このような事情に、一層のご理解をいただきますようお願い申し上げます。

PREVMENUNEXT