オリーブ油のお話し

2.オリーブは平和のシンボル

 煙草を召し上がらない方には恐縮ですが、ピースという煙草のケースに、小枝をくわえた鳩がデザインされています。この小枝はオリーブなのですが、デザインの由来が旧約聖書に登場するノアの箱船であることはご存じでしょうか?
 
 旧約聖書の「創世記」に“ノアの箱船"の寓話が記述されています。神は、堕落した人類を一掃するため、信心の厚い義の人であるノアとその家族だけを救うことを決め、ノアに巨大な箱船を作ることを命じます。地上のあらゆる動物を一対ずつ箱船に積み終えたとき、神は40日間も続く大洪水を引き起こし、全ての動物が息絶えました。アララト山頂に漂着した箱船から洪水が引くのを見たノアは一羽の鳩を放ちますが、夕方、鳩は何事もなく帰ってきました。2度目に鳩を放ったとき、鳩はオリーブの小枝をくわえて帰ってきました。これを見て、ノアは洪水が治まり、安全な地上に漂着したことを悟り、箱船から外へ出ました。ノアとその家族は人類の新しい祖先となり、一対の動物達は、その後の動物の始祖となりました。
 
 オリーブ油の産地であるイタリアでは、オリーブはアテナ(ローマ名ミネルヴァ。全能の神ゼウスと巨人族の女神メティスの娘。知恵の女神)がもたらした神の木と信じられています。イタリアでは、数百年の樹齢を記録するオリーブの大木を見ることができますが、神のもたらした植物をいたずらに伐採しないという信仰心が、オリーブに数百年の生命をもたらしています。

 こうしてみると、オリーブは神に祝福された植物であり、平和のシンボルであるということができるようです。そして、その木の実から採取する油も平和のシンボルであるというと、少し飛躍しすぎでしょうか。

 ところで、ノアの寓話をデザインした煙草のピースは、日本では、長い間天皇陛下からの御下賜品の一つでした。禁煙が進む中で、現在ではその地位を失いましたが、平和のシンボルという位置づけは、このことからもうかがえます。

 余談ですが、地球の温暖化が進み、極地の氷がすべて溶けるような異常事態が来れば、ノアが体験した大洪水が再現されることになるかもしれません。人類が地球温暖化問題を解決し、平和のシンボルであるオリーブの木がゆたかに育つ地球であることを願いたいものです。

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