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パームの多角的利用へ進む研究開発

 マレーシアのパーム油産業は、世界のパーム油市場での地位を確保し、競争力を維持するために新しい製品開発に取り組んでいます。政府もパーム油産業支援のため、パーム油庁の下部組織としてオレオケミカル技術開発センターを設置し、パーム油を利用した製品の開発やそれに付随する関連技術の民間企業への移転を図っています。また、バイオテクノロジーを利用したパームの品種改良やエネルギー資源としての利用方法などの研究も進めています。

 これらの研究開発で特に注目されているのが環境に配慮した製品開発で、次のような研究が進められています。

【1】 パーム椰子の果実を取り除いた殻やシュロからとれた繊維で、家具及び建築資材に使われるMDF(中密度繊維板)及びチップ・ボード(化粧板)を製造する。
【2】 大部分が焼却または放置されていたパーム油生産時に発生する廃棄物を利用して、肥料や家畜の飼料を開発する。これによって、資源のリサイクルだけではなく、焼却処分の際に発生する煙害などの環境汚染防止にも寄与する。
【3】 石油や石炭など枯渇が懸念される化石燃料に代わるエネルギー源としてパーム油のバイオマス利用の研究が進められており、発電所のエネルギーとして試験が行われている。この“グリーン"バイオディーゼルとパームヤシ燃料油の組み合わせは、資源リサイクルと環境汚染を防止するものとして期待されている。
【4】 パーム油から作られるメチルエステルは、車両に利用されるディーゼルの代用品として大規模な試験段階に入っている。将来の“グリーン"燃料として自動車の主要な燃料になる可能性を秘めている。

*海外植物油事情の記事は、日本貿易振興会(JETRO)クアラルンプール事務所の大石仁志さんから寄せられた情報に基づいて作成しています。



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