1.オーストラリアからの便り
― 価格より健康を優先し始めた豪州の消費者 ―
オリーブの国内生産拡大に意欲も

拡大するカノーラの生産

  オーストラリアの油糧種子生産量は、90年代後半に急激に拡大しました。連邦政府農業資源経済局(ABARE)の統計によると、油糧種子の生産量は、95/96年度(7~6月)の168万トンから99/00年度には381万トンと2倍以上に増加しました。その要因はカノーラ(菜種)の生産が急速に拡大したことにあります。カノーラは、輪作体系のなかで地力の回復や病気予防に効果があることが認められたこと、大麦など競合作物との価格面での優位性などからオーストラリアの農業の重要な作物としての位置づけを確保しました。増加したカノーラは、主として輸出に向けられていますが、品質が向上し世界的に評価が高まったこと、現時点ではすべてが非遺伝子組換えであることなどから需要は増えています。しかし、他作物との価格面での優位性が徐々に薄れてきたこともあり、2000/01年度以降油糧種子の生産が減少する傾向にあります。

 2001/02年度の油糧種子の生産量は298万トン、そのうち約65%の192万トンが輸出され、残りの106万トンが国内の製油用や飼料用に向けられました。品目別シェアは、カノーラが60.2%と最大で、次に綿実が32.8%と、この二つの作物で90%以上のシェアを占めました。しかし、2002/03年度には、エルニーニョ現象に起因する大規模な干ばつがオーストラリアの生産地を襲い、生産量は前年度に比べて6割以上減少するという結果になり、日本へのカノーラの供給にも大きい影響が生じました(表1)。
表1 油糧種子作物の生産量の推移

(単位:千トン、%)
  95/96
98/99 99/00 00/01 01/02 シェア
生産量 1,684 3,092 3,810 3,107 2,984 100.0
カノーラ
綿実
亜麻仁
ピーナッツ
サフラワー
大豆
ひまわり
557
933
13
39
30
44
69
1,690
1,012
9
39
25
109
209
2,426
1,047
10
44
31
105
147
1,775
1,124
9
35
33
62
70
1,797
980
9
37
28
70
63
60.2
32.8
0.3
1.2
0.9
2.4
2.1
輸出向け 523 1,707 2,445 2,189 1,920  
国内向け 1,161 1,385 1,365 918 1,064  
資料:「Australian Commodities Statistics 2002」(連邦政府農業資源経済局)
PREVMENUNEXT